ファーストキッチンは消滅するのか?サントリーが売却したウラ事情

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かつては圧倒的存在だったマクドナルドの勢いが弱まる中、ハンバーガー業界では熾烈な競争が繰り広げられています。再起を狙うウェンディーズは、サントリーからファーストキッチンを買収することを発表。なぜ今、ウェンディーズは大きな賭けに出たのでしょうか? 無料メルマガ『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』の著者でMBAホルダーの安部徹也さんが、詳細な財務分析を交えながらその答えを明示してくださいました。

ハンバーガー業界第5位ファーストキッチンの買収決断を下したウェンディーズ・ジャパン

サントリーホールディングスは6月1日、100%子会社ファーストキッチンの全株式を、ウェンディーズ・ジャパンに6月末までに売却すると正式発表しました。売却額は非公表ですが、数十億円に達するとみられています。

ファーストキッチンは、1977年9月に設立されたハンバーガーチェーンで、都心のビジネス街や繁華街、郊外や駅前のショッピングセンターを中心に133店舗を展開し、直近の売上は100億円弱で業界第5位の規模を誇ります。

一方、買収する側のウェンディーズは、アメリカではマクドナルド、バーガーキングに次いで第3位のハンバーガーチェーン。日本では、1980年に当時のダイエーと組んで銀座に1号店をオープンして参入を果たします。

1990年代後半には、全国に100店舗を超えるまでに規模を拡大しますが、2002年にはダイエーが経営危機に陥った影響で、経営権はすき家を展開するゼンショーに移ります。そして、ゼンショー傘下のウェンディーズは2009年12月まで営業を継続。ところが、米国本社とのフランチャイズ契約満了に伴って、ゼンショーは契約を更新しないという決断を下します。

結果として、全国の71店舗は閉鎖され、日本からウェンディーズが消滅することになったのです。

しかし、その後、アメリカで勢いを増したウェンディーズは、アメリカ発祥の「ドミノ・ピザ」を日本市場で成功に導いたアーネスト・エム・比嘉氏が率いるヒガ・インダストリーズと新たなパートナー契約を結び、日本市場への再参入を試みます。

2011年12月には、表参道に再参入1号店を開店すると、高級食材のフォアグラを使った「フォアグラ・ロッシーニ」など、1,280円という従来のハンバーガーチェーンでは考えられなかった価格帯の高級ハンバーガーが話題となり、表参道店は連日多くの客で賑わい、一定の成功を収めたのです。

ただ、残念ながら話題性先行で勢いは続かず、2013年には表参道店も閉鎖に追い込まれます。現在、ウェンディーズの直営店は曙橋店1店舗のみで、当初のビジョン通りに事業拡大ができておらず、苦戦を強いられているというのが現状でしょう。

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