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全米シェア53%。高笑いのネットフリックスにライバル社が反撃開始

 

近年、日本にもじわじわと浸透してきた「動画配信サービス」。本場米国ではすでに巨大市場になっています。中でも、その巨大市場の半分を独占しているのが、2015年に日本でもサービスを開始した「Netflix」。同社の大きな魅力は、制作費をかけて作り上げたクオリティの高いオリジナル作品です。同業他社のアマゾンやYouTubeもそれに続けと言わんばかりに、「コンテンツづくり」に力を入れているようです。

米国の動画配信サービス市場は巨大

インターネットを通じて、映画やドラマなどが閲覧できる「動画配信サービス」は、いまや米国ではポピュラーな存在。

その市場も巨大です。

The Hollywood Reporterによると、2016年度の動画配信サービス(Video Streaming)市場の収益は22%増加し、約7100億円(約66億ドル)以上にのぼるといわれています。

しかし、昨年比11.9億ドルも増加したものの、専門家のあいだでは2017年以降、市場は縮小すると予測されています。

動画配信サービスの年間増加

image by: Strategy Analytics

「増加における変化は相対的に小さいが、この方向性は極めて重要だ。一方で、実際の市場の飽和はすでに数年間続いているが、米国国内の動画配信マーケットは普及曲線の折り返しにいる」(リサーチ会社のデジタル・メディア・ディレクター、マイケル・グッドマン氏)

2017年には10.4億ドル、2018年10.3億ドル、2019年は9,600万ドルまで市場は縮小すると専門家は予測。

5年以内に、米国内の年間成長率は8%を下回ると予測されているため、今後は海外展開が重要になります。

米国国内の約60%のブロードバンド回線を引く家庭が、動画配信サービスをすでに利用しているため、市場の飽和状態の率は85%とも言われています。

その市場の中では「Netflixが53%のシェアを独占し一人勝ち状態

これに「アマゾン・プライム・ビデオが25%、「Huluが13%と続きます。

また、その中の40%弱の利用者が2つあるいはそれ以上のサービスを使っているとのことです。

業界の企業は、より多くのユーザーに1つ以上のサービスを利用してもらうことに賭けているようです。

Strategy Analyticsが予測したところによると、2016年にアメリカ人がDVDや動画配信サービスなどを含むホームビデオ関連に消費する額は約190億円以上にのぼると予測しています。

【2016年ホームビデオ市場予測】

なぜNetflixは強いのか?

世界190カ国、8100万人以上の会員登録数を誇るNetflix。

なぜNetflixは高いシェアを独占できたのでしょうか?

同社はこれまで「ビッグデータの活用」に力を入れてきました。

そのデータを使って実現したのが精度の高いレコメンド機能」(おすすめ機能)。

ユーザーの視聴の細かい行動に関する膨大なデータ(どこで動画をストップしたのか、どこで巻き戻し、どこで早送りしたのかなど)を分析します。

これをもとに、ユーザーの好みを割り出し次にユーザーが見たいと思う作品を推奨します。

個人に合わせたおすすめの作品が表示される

この「レコメンド機能」のクオリティが高いと、日本のユーザーのあいだでも評判です。

Netflixのもう一つの強みは、ずばり「コンテンツ力」。

巨額の予算をかけて制作する「Netflixオリジナルコンテンツ」は、クオリティが高く面白いと評判です

中でも、大きな話題を呼んだのが、製作費100億円の「ハウス・オブ・カード 野望の階段」。

こちらの作品を制作するにあたって、なんとNetflixは「ビッグデータ」を活用しているというのです。

その膨大なデータによって、監督にはハリウッドのヒットメーカー、デヴィッド・フィンチャー監督、主演にはケヴィン・スペイシーが選ばれました。

その読み通り、ユーザーからの高い視聴率を獲得し大ヒットを記録。

またネットドラマとしても初めて米エミー賞を受賞するなど、ビッグデータを使って、ネットドラマに革命を起こしたといえます。

ハウス・オブ・カード 野望の階段

ホワイトハウス内で繰り広げられる政界のパワーゲームにクギ付けです。

フラーハウス

この他にも1980年代に人気を博した米ドラマ「フルハウス」のスピンオフとして製作したドラマ「フラーハウス」も話題。

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」は女囚人たちの刑務所内での生活を描いた物語。本作品は、オリジナルコンテンツの中で最も視聴された話題作。

Netflixは日本でも2015年からサービスを開始。ユーザーのあいだでは早くも「とまらない!」という声も聞こえ、SNS上では「Netflix中毒」というワードも登場しているとか。

Netflixに続いて、オリジナル作品に力を入れるアマゾン、YouTube、Hulu

これに対して、同業他社もこれに負けじと本気モードを入れてきました。

Market Realistによると、最近YouTubeはNetflixのような広告なしの動画コンテンツの購読者への提供にシフトしてきたようです。

2015年暮れに、アメリカではすでに有料サービス「YouTube Red」($9.99ドル〜)を開始。

現在、無料版で表示される広告をオフにできるほか、事前にコンテンツをダウンロードしておけば、オフラインでもコンテンツを再生できるそうです。

カナダ人歌手で人気ユーチューバーの Lilly Singhのドキュメンタリー動画「A Trip to Unicorn Island」を有料で配信するなど有料動画にも力を入れています。

また同社は、年内に15〜20本のオリジナル作品の制作も発表しています。

アマゾンも、「プライム・ビデオ・サービス」を普及するためにオリジナルコンテンツの製作に力を入れ始めました。

こちらは、ゴールデングローブ賞を受賞した「トランスペアレント」や、「高い城の男」などのオリジナルコンテンンツを製作。

こちらも好評を得ているようです。

アマゾンの「トランスペアレント」

「トランスジェンダーの親」をテーマにした異色のドラマが話題。

Huluの「11.22.63」

スティーブン・キングの原作をもとに制作されたサイエンス系サスペンスドラマは、ケネディ大統領の暗殺を題材にしたタイムトラベラーの物語。

オリジナルコンテンツの制作に本腰を入れ、反撃を開始したアマゾン、YouTube、Hulu。

しかし、ビッグデータを最大限に活用して、オリジナルヒット作品を生み続けてきた一人勝ちのNetflixに太刀打ちできるのでしょうか。

今後どんなオリジナルコンテンツの熾烈な競争が繰り広げられるのか、目が離せません。

Image by: Kaspars Grinvalds / Shutterstock.com

Source by: The Hollywood Reporter, Strategy Analytics , Market Realist

文/MAG2 NEWS編集部

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