日本が生んだ夢の「がん治療薬」、たった一剤で国を滅ぼす

日本が生んだ夢の「がん治療薬」、たった一剤で国を滅ぼす
 

問題はこの薬が余りにも高価なことだ。たとえば、肺がんの場合、ニボルマブを1回、3mg/kg(体重)を2週間間隔で投与することになっており、体重60kgの人は1回130万円年間3500万円にも上る。日本は国民皆保険制度に加え、高額療養費制度があり、医療費の自己負担額は最高でも年間200万円である。ということは、3300万円は公費負担になるわけだ。日本赤十字社医療センター化学療法科部長・國頭英夫氏は、これでは国の財政破綻は必定だと心配する。

國頭英夫によるとニボルマブが効くといわれる非小細胞肺がんの患者は、年間10万人で、5万人が適応対象だとして、すべての人に1年間投与すると、薬剤費の総額は凡そ1兆7500億円、公費負担は1兆6500億円に上るという。現在の日本の医療費の総額は約40兆円で、薬剤費は約10兆円。適応が胃がんや大腸がんといったありきたりのがんに拡大されたら、医療費が国家財政を破綻させるのは確かに必定のような気がするね。

さてどうしたものか。以前書いたように、医療用大麻合法にして、末期がんの適応対象にすれば、医療費は多少浮かせるだろう。自分で大麻を栽培してそれで自分のがんを治療すれば医療費はかからない。そういった医療費削減に貢献している人を逮捕して裁判にかけている国はアホ、バカ、マヌケ、カバ、チンドンと言う他はない。あるいは、75歳以上は保険適用にはしないで、やりたい人は自己負担でどうぞという選択もあると思う。しかしそうなると老人から総すかんを食って、厚労省の大臣は次の選挙で落ちるかも。 とりあえず俺〈私〉の命が助かれば、近い将来日本の財政が破綻しようが、知ったこっちゃない、という人が多いと、医療費の加速度的増大は避けようがない。まあ、安倍首相以下、国家や財界のおエライさんたちは、とりあえず今日明日さえ乗り切れば後は野となれ山桜と思っているみたいだから、日本破綻と引き換えに命が助かりたい老人の悪口を言う資格はない。そんなわけで、どのみち、日本の破綻は避けられそうにない

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池田清彦のやせ我慢日記』より一部抜粋

著者/池田清彦(早稲田大学教授・生物学者)
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