大手回転寿司チェーン店「スシロー」の快進撃が止まりません。激戦の外食業界にあって、過去最高の営業利益を記録するなど、同業他社を寄せ付けない強さを見せ続けるその裏にはどのような戦略があるのでしょうか。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』で、MBAホルダーの理央さんがその秘密に迫ります。
スシローの快進撃の秘密は何か?
あきんどスシロー業績が上を向いている。2016年9月期第2四半期は、売上高8%増の700億円、営業利益は、過去最高になったとのことだ。
● あきんどスシロー/上半期売上高8%増の700億円、過去最高の営業利益 (流通ニュース)
厳しい外食産業の競争状況
外食業界は、ただでさえも競争が激しい。なかでも、「寿司」に関しては、回転寿司だけでも、かっぱ寿司、くら寿司を筆頭に多数、寿司屋全体に範囲を広げると、もう数えられないほどの数。
スシローをとりまく競争状況を、簡単にまとめてみると、回転寿司や一般の寿司屋は、「寿司を食べる」という意味で、「直接的な競合」。
しかし、それだけではない。生活者は寿司を食べたい、と思ったときには、寿司屋も選択肢だろうが、出前や持ち帰り、または「自分で作る」ことも広い意味では選択肢のうちだ。
さらに、おなかがすいていて、食事をする時に、選択肢は寿司だけではない。ハンバーガーやステーキ、焼肉に中華料理と、幅広い。さらに、上記と同じで「買って帰る」「自分で作る」ところまで入れると、こちらも数えきれない。
このような「間接的な競争」「代替品」が多いなか、今回の業績アップの要因を考えてみたい。
スシローが打っている「手」
スシローの販売促進について、インターネットで検索してみると、多く出てくるのは、まず「話題性」のあるメニュー。なかでも、1日数量限定で販売している「メロンソーダ」が目を惹く。1皿980円(税抜)とのことで、写真を見ても山盛り。お客様は、ツイッターなどのSNSで写真をあげ、「まるごと食べるメロンソーダ」というニックネームで呼ばれているそうだ。
それ以外でも、大学生とメニュー開発をした「県の特産品を使ったメニュー」や、昨年比1.5倍の大きさの、うなぎのチラシなど、話題性がある斬新なメニューを次々にだしている。
アプリの活用
スシローアプリも、なかなか面白い試みである。今のところは、スマホでの予約、各店舗の空き状況から入れる店を探す、また、お持ち帰りの注文、フェアの情報やお知らせ、まいどポイントのチェック、ができるようになっている。
現段階で、400万件のダウンロード実績があり、来店客の約30%がアプリケーションを経由して来店しているという(「流通ニュース」より)。
今後は、このアプリを活用して、顧客がどんなメニューを好んでいるか、その地域特性や家族構成とどんな関係があるのかなど、顧客関係性をマネジメント(CRM)するツールとして、活用することができるであろう。
スシローから何を学ぶべきか?
まず、販売促進の手の打ち方は、「思い切った、話題性のあるイベント・メニュー」を、過去の成功体験や、固定観念にとらわれずに、打ち出せる点が特徴だ。
規模が大きくなって来たり、伝統があったりすると、これまでやってきたことと違うことに手を出すことを躊躇したり、はては、手を広げるべきことにさえも気づかなくなったりする。こうなると、競争に勝つことはおろか、価格合戦に巻き込まれ、経営は悪化してしまう。
アプリの方は、「顧客の利便性」を追及している点が出色だ。「お客様を待たせたくない」「便利に来店してほしい」という気持ちが表れている。
顧客が価値を感じるのは、得られる利益が大きく、かつ、犠牲にするものが少ないときだ。いくら美味しい寿司を安く食べられても、2時間待ちでは客足が遠のく。臨機応変な商品開発と、顧客の期待を超える姿勢が、スシローの快進撃の要因であるだろう。
『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』より一部抜粋
著者/理央 周(めぐる)
あのヒット商品はなぜ「ヒット」したのか?あのレストランの予約は、なぜいつも取れないのか?世の中で「売れているモノや人気者」はなぜヒットするのでしょうか?毎号実際の店舗や広告を取り上げ、その背景には、どんな「仕掛け」と「思考の枠組み」があるのかを、MBAのフレームワークとマーケティングの理論を使って解説していきます。1.「中小企業経営者・個人事業主」が売り上げを上げる 2.「広告マン・士業」クライアントを説得する 3.「営業マン」が売れない病から脱するためのメルマガです。
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