著者は「テストなし、合格点なし、大学受験全廃」を主張している。一つ一つには論理と経験に基づいていて、決して思いつきではない。そしてその基本は、若い日本人が子供から大人になる過程で受ける「教育」を、「辛いもの」から「楽しいもの」にすること、「人間は共生されなくても、自己実現のために努力する」という信念である。
「赤ちゃんの時の意欲を20歳まで」というこのデザインのどこが悪いのだろうか?それが実現しないのは、「教えられる方の子供のこと」より、「均一な能力を持つ若者を作ることが国家にとって大切だ」という国家主義が上位にあることと、さらには「未熟なものをいじめよう」という人間の奥底にある汚れた心によると思っている。
「学生は勉強するべきだ」と言う人もいる。でも、なぜ学生だけが勉強しなければならないのか、同じ年齢で就職している人は、なぜ仕事が終わったらお酒を飲んでもよいのか?と聞いても満足な回答は得られない。特に私立大学で授業料を払い、18歳から22歳まで運動をするのが目的でも、友人を作るのでも、それは学生個人の人生の計画を尊重しなければならない。勉強したい学生は勉強するし、それで十分と著者は考えている。
100年の計の基本は日本人が豊かでたのしく、幸福な人生を送ることにある。
現代の教育制度、学校運営、テスト、受験などは本当にそれを目的として行われているのだろうか?
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『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』より一部抜粋
著者/武田邦彦
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
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