今なお台湾政権の「ご意見番」的存在として絶大な影響力をもつ李登輝・元台湾総統。李氏は7月に石垣島で行った公演の中で、「日台は運命共同体だ」と述べ、さらなる関係性の強化を求めました。蔡英文総統率いる現政権を絶賛している李氏ですが、今後さらに「日台」の絆を深めつつ行うべき改革とは何なのでしょうか? メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、わかりやすく解説しています。
【台湾】蔡英文政権「日米台同盟」への期待
● 蔡総統、シンポジウムで李登輝氏と同席 「台湾の民主主義」振り返る
李登輝元台湾総統が設立したシンクタンクのシンポジウムに、李登輝氏と蔡英文総統が揃って出席しました。そこで蔡氏は、「李登輝時代は台湾の民主化の歴史の中で特別な意味を持つ」と李登輝氏の功績を改めて強調し、「我々には当時とは異なる任務がある。新政府は『民主主義の深化』というバトンを受け取り、進み続けていく」と述べました。
李登輝氏は現在92歳です。これまでも様々な病と戦いながら、総統を退いた後もご意見番として台湾政権に影響を与え続けてきました。
総統時代(1988~2000年)に台湾の民主化を推し進めた活躍は言うまでもないでしょう。特に、教育の現場で使われていた中国寄りの歴史教科書を改定し、それまで一切触れられなかった台湾の歴史についての教科書『認識台湾』をつくり、台湾の子供たちに中国ではなく台湾について学ばせたことは今でも語り草となっています。
『認識台湾』では「日本時代」に触れる部分もあり、台湾に教育を普及させたこと、衛生という概念を台湾に定着させたことなどの紹介もありました。実際、日本が台湾を領有した当時の1899(明治32)年、台湾の就学率は2.04%でした。それが日本統治終了の前年、1944(昭和19)年では92.5%となっています。日本がいかに教育に力を入れていたかがこの数字からも明らかでしょう。
また、衛生を重視するという概念の普及によって、伝染病が予防され生活環境が整い、死亡率が下がりました。