目下、台湾最大の政治課題は、「民主主義」に絶対不可欠な成熟した法治社会です。台湾もやっと七十年間にわたる華僑王国から脱出し、「人治」から「法治」へと向かおうとしています。しかし、七十年間の「負の遺産」はあまりに大きく台湾にのしかかっており、時間がかかるのは仕方のないことでしょう。
そして台湾丸は中国大陸へではなく、太平洋に向けて出港して日本に接近しようとしています。私はすべてが順風満帆であることは期待していません。方向性だけでも間違えなければいいのです。
李登輝次代は「教育改革」を行いました。蔡英文時代は「司法改革」に着手できればそれでいいと思っています。完成までは期待していません。
また蔡英文総統は「国防産業」にも重点を置くとしています。私は日本の防衛省の方から、台湾の「国防産業重視」はアメリカの軍事産業との関係強化を意味していると言われました。
しかしこれは、日本の防衛問題にも刺激となると思っています。日本は「安保法制」だけで「戦争法だ」と批判されるくらいですから、単独で防衛産業の強化ともなれば猛烈に批判されることになり、ほとんど無理でしょう。
そこで台湾の国防産業強化を契機として、日米台の軍事・安保関係を強め、同盟関係へと発展させていくことがいいのではないかと思っています。
李登輝、蔡英文、安倍晋三には昔からの人間関係があり、それに親台湾と言われる小池百合子都知事も加わることで、これからの日台外交はさらに深化していくことが期待されます。
『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋
著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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