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記者会見で手を上げても「絶対に」当てられない上杉隆が理由を暴露

メルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』の著者で元ジャーナリストの上杉隆さんは、長らく安倍総理大臣の記者会見に出席し続けているそうですが、挙手しても一切当てられることがないとのこと。上杉さんは2009年の民主党政権発足直前にも、鳩山由紀夫氏の民主党代表就任会見で全く同じ経験をしていました。今回のメルマガでは、その模様を著書『記者クラブ崩壊』(2010.4.6刊)より一部抜粋して取り上げ、公然と行われている「言論統制」に真っ向から抗議しています。

記者クラブの変わらぬ体質

筆者は、通常は、記者クラブの幹事社の座る場所で高々と手を挙げて指名を待った

ところが、何度挙手しても一向に当てられない。実はその日の会見担当の党広報スタッフは、情報公開の精神など微塵も持ち合わせていないことで有名なI氏であった。前列の記者クラブのメンバーがすべて指名されても、フリーランスの筆者の番は回ってこない。ついには、居眠りしていた新聞記者までが指名されるに至ってようやくI氏の意図を理解した。筆者に当てるつもりはないのである。と、その時予想外のことが起きた。壇上の鳩山代表が他の記者の質問の最中に、「上杉君は何で当たらないの」とマイクを通して問い始めたのである。不思議そうに「何で」を繰り返す鳩山氏に、「避けられているんですよ」と筆者が答えると、ついに鳩山氏はI氏に向かって言い放ったのだ。

何で上杉さんを指さない?最初からずっと挙げてるじゃないか

1問目に世襲問題を質問し、次に本題に移った。筆者は、小沢前代表の3月24日の「公約」を持ち出して、鳩山民主党が政権を取った場合も首相官邸の記者会見を開放するのかどうか、改めてその方針を質したのだ。これに対して鳩山氏はこう答えた。

「小沢前代表は大変いいことをしてくださいました。記者クラブの問題などもありますが、情報公開の見地からも、国民の知る権利からも、オープンは当然のことでありますから、どうぞ民主党が政権を取った暁には、上杉さんも官邸にお越しください」

この記者会見の背後では、激しい駆け引きがあったようだ。翌日の新聞はなぜか全文掲載ではなく会見の抄録のみを掲載した。首相に最も近い政治家の就任会見が抄録というのも奇妙だが、ほとんど全文を掲載しているのに抄録としているのも不思議だった。

だが、よく読めば、その意図は簡単に見抜くことができた。筆者の記者クラブに関する質問だけが抜き取られていたのだ。これは3月の小沢会見でも全く同じだった。

生中継をしていたNHKに至ってはもっと巧妙だった。後日、NHK報道局の幹部がこう筆者に労いの言葉をかけてきたのだ。

「上杉君、鳩山会見での手の上げ下げの運動(挙手のこと)、大変だっただろう」

放送されてもいない内容をなぜ知っているのかと逆に訊ねるとこう続けた。

「それはそうだよ。だって、あの会見では絶対に上杉隆だけには当てないようにとクラブ側で事前に取り決めていたんだから。だから、いくら上げ下げしても無理だったんだよ」

要するにその日の会見では、筆者の記者クラブ問題に関する質問を事前に予想し、NHKニュースの生放送中に間違えても流れないよう予め合意」ができていたというのだ。党職員のI氏はそれを忠実に守るために不自然な指名を繰り返していたということになる。

確かに、筆者の質問の頃にはNHKニュースの放送は終わり大相撲中継に移っていた

記者クラブのこうした徹底した言論統制は見事の一言に尽きる。

image by: Shutterstock

 

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