「ニューズ・オプエド」にも出演した長谷川氏だが、今回のコラムはそのタイトルだけでも事実誤認と思われる箇所がいくつかある。
まず、人工透析患者が自業自得というのはどうなのか?当然のことながら、すべての腎臓病患者が不摂生をしていたわけではない。確かにわたしの父は不摂生の連続だったが、それだけが腎臓病の理由ではない(生来の内蔵疾患があった)。
そもそも、母は真面目に生きて来たし、わたしを含む幼いこどもたちも他人様に迷惑をかけるようなことはしていなかった。このように、医療システムは患者だけではなく、その家族も支えているのだ。
中には、大人ではなく幼き頃から腎臓を患っている者もいる。
わたしの小学校の同級生M君が腎臓の病を発症したのは幼稚園の頃だった。
治療のため、友だちとの遊びも制限され、小学校に上がってからも食事制限、またむくみによる痛みを抑えながら通院する姿は、同じ病気の父からしても同情の対象であったようだ。
「M君は元気か?」
自分の子どもも含めてこどもには関心の薄かった父だったが、M君に対してだけは違った。学校でのM君の様子を度々聞き、家に遊びにくる時も極めて優しかった。
別々の中学校に通うことになったM君とはその後、疎遠になった。数年後、成人式の会場で久しぶりに小学校の同級生たちと会い、すでにこの世にM君がいないことを知らされたときのショックは忘れられない。
病との戦いは患者にとっても家族にとっても辛いものだ。そうした者を救うのは国や政治の責任だとわたしは信じている。都知事選で訴えた通りだ。
そうした意味で、わたしは今回の長谷川氏のコラムには賛同しないのである。
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