監督は、「日本だと、みんな泣くんですけどね、、、」と寂しそうに語ってくださいました。 そう、泣かそうとして作ったシーンだったのです。そう言われれば、ちょっといい感じのBGMも流れてたような、、、、
でもね。無理デス。 絶対、泣けない。 めちゃくちゃ、おもしろいもの。
どうして、これから命を賭ける任務に行く前に、ナンパで出会ったばっかりの女性に愛の告白をするのか。 しかも、それを聞いて、他の保安庁の人間、全員が涙をこらえてるwww
劇場を出たニューヨーカーに感想を直撃すると、「おまえ、そんなことしてる場合じゃないだろっ! 」ってまた思い出し笑いしてました。
くりいむしちゅーの上田さんあたりが、そうツッコめば、(丁寧にどこがツボかを説明すれば) 劇場で泣いた女性たちも笑ったのだろうか。
あるいわふざけた書体のテロップを画面下に流せば、涙は止まったのだろうか。
わがままなニューヨーカーは自分で考える。面白かったら、笑う。 お約束ごとも関係ない。 おもしろくなければ、笑わない。
海上保安庁で実際の任務に当たる方達は、家族がいらっしゃる方も多い。 子供を家に残して来ている方も少なくない。 それでも、国を守る使命のもと、出撃をせざるを得ない。
そんな時に「実は出会った頃から好きだった~」だの、ナンパで昨日今日知り合ったカップルのなれそめと告白を、マイクの切り忘れ、という、ボケたミスにより、基地全体の人間に聞かれてしまう。 申し訳ないけど、ギャグマンガだよ。
感動的なBGMがなくても泣けるのか。 もしこれが、伊藤英明と加藤愛じゃなくて、狩野英孝と林家パー子さんだったら。
本当の感動するシュチエーションは、BGMにも出演者にも左右されない。
俯瞰(ふかん)で見たとき、「なんかおかしない?」と気付く感覚はひょっとしたら、アメリカ人の方が上かなと思う瞬間もあります。
このクライマックスの一連のシーン。大爆笑するニューヨーカーと、感動して号泣しちゃう日本人。
それでも果たして、「お笑いのセンスは日本の方が上」と自信を持って断言できるでしょうか。
image by: Shutterstock.com
『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋
著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる