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日本だったら完全アウト。ヒラリー氏に浮上したFBI幹部買収疑惑

アメリカ大統領選まで2週間を切りましたが、世論調査の支持率は依然としてヒラリー氏が優勢と見られています。しかし、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、ここに来てヒラリー氏に「新たな疑惑」が浮上したことを指摘。が、それを握り潰すだけの力が今のヒラリー氏にはあるとも述べています。最後に笑うのはどちらになるのでしょうか?

ヒラリー・クリントン、FBI副長官を買収???

「世界最大のリアリティーショー」アメリカ大統領選挙、あとしばらくで結果がわかります。

数々のわいせつ行為が暴露され、苦境に陥っているトランプさん。一方で、ヒラリーさんは、「私用メール問題」を抱えていました。ところが、ここにきて「新たな疑惑」が出てきました。

ヒラリーは、FBI幹部を買収したのか?

こちらの仰天報道をごらんください。

米大統領選 クリントン氏と親密な知事の政治団体、FBI幹部の妻に5,200万円大口献金

産経新聞10月25日(火)9時10分配信

 

【ワシントン=小雲規生】米大統領選の民主党候補クリントン氏と親密なバージニア州知事の政治団体が、連邦捜査局(FBI)幹部アンドリュー・マッケイブ氏の妻で、2015年に同州議会の上院選挙に立候補した女性に約50万ドル(約5,200万円)の献金をしていたことが分かった。24日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルが報じた。

ヒラリーさんと親密なバージニア州知事の政治団体が、FBI幹部アンドリュー・マッケイブの妻で、バージニア州上院選挙に立候補した女性に、50万ドル(約5,200万円)献金した。

バージニア州知事は、マコーリフさんと言います。マコーリフさんは、1996年、ビル・クリントンの大統領再選キャンペーン、2008年、ヒラリー・クリントンの大統領選挙キャンペーンを率いた人物で、クリントン夫妻と、とても親密。それで、マコーリフさんの団体が、ヒラリーさんの意志と無関係にFBI幹部の妻に献金したとは考えにくい。

マッケイブ氏は選挙後の7月末にFBI副長官に昇格し、クリントン氏の私的メールアカウント使用問題の捜査に関わった。

 

マッケイブ氏の妻はメール問題が発覚した3月に出馬を表明したが、6月の選挙戦で共和党の現職候補に敗北した。FBIはマッケイブ氏が妻の選挙運動には関わらなかったとしている。
(同上)

ヒラリーさんの友人が5,200万円献金した女性の夫は、FBI副長官に昇格した。彼は、ヒラリーさんの「メール問題」に関わったのでしょうか? AFP=時事10月25日付には、こうあります。

この幹部はその後、クリントン氏の私用メール問題の捜査を監督する立場になった。

もう一度整理してみましょう。

  1. ヒラリーさんの友人は、FBI幹部の妻に5,200万円を献金した。
  2. このFBI幹部は、後にFBI副長官になり、ヒラリーさんの「メール問題」を「監督する立場」になった。

これは、偶然でしょうか? 「メール問題の捜査を監督する人物を買収したのでは? 当然、こんな疑惑が出てきますね。トランプさんの反応は?

この報道を受け、共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(70)は「クリントン氏は説明責任を果たすべきだ」と批判している。
(同上)

この問題は、どうなるのでしょうか?

ヒラリーは、「超法規的」存在

これ、日本人の感覚だったらアウトかもしれません。日本であれば、有罪が確定する前に、マスコミが騒いで退場になります。実際、日本では、「金銭問題」で多くの政治家が失脚している。しかし、ヒラリーさんは、どうも「超法規的存在」になっているようなのです。

日米関係、米中関係の本質を知りたい人にとって、アメリカ在住政治アナリスト伊藤貫先生の『中国の「核」が世界を制す』は、必読です。伊藤先生によると、クリントン夫妻は中国から金を受け取っていた。しかも、80年代から。

クリントン夫妻とリッポ財閥の腐敗した癒着関係は、少なくとも1983年から始まっている。
(『中国の「核」が世界を制す』)

リッポ財閥」とは何でしょう?

中国共産党と人民解放軍は、クリントン夫妻に対して多額の贈賄をするパイプとして、インドネシア・香港・中国に拠点を持つリッポ・グループ(力宝集団)を使用した。

 

リッポ・グループはインドネシアの華僑財閥・リアディ家が所有する企業集団であり、銀行業・不動産業・流通業・観光業等を経営している。
(同上)

多額の贈賄をするパイプ」として利用される企業。なんとも「中国らしい」話です。

ヒラリー夫人が上級パートナーを務めるアーカンソーの法律事務所は、この時期から、リッポグループの「顧問」として高額の報酬を得ている。

 

FBIは、「クリントン夫妻と人民解放軍スパイ機関との協力関係が始まったのは、たぶんこの頃だろう」と推定している。
(同上)

この部分は、かなり衝撃的。なんとFBIは、「クリントン夫妻と人民解放軍スパイ機関が協力関係にあることを知っている」。では、なぜヒラリーさんは、オバマ政権で国務長官を務め、民主党の大統領候補になれたのでしょうか(理由は、後述)?

そして、ヒラリーさんの夫ビルは1992年、「中国の金も」使って、大統領選に勝利。さらに1996年、また「中国の金も」使って、再選を果たした。

クリントン夫妻は1992年の大統領選に出馬したとき、リアディから少なくとも(後に判明しただけでも)125万ドルの賄賂(違法な政治資金)を受け取っている。

 

1996年の大統領選挙では、リアディ(リッポ・グループ)からクリントン夫妻へ、はるかに巨額な賄賂が動いた。
(同上)

そして、驚くべきことに、「クリントン夫妻が中国から金ももらっていたことにされます。しかし…。

1997年にこの事実が明るみに出たとき、クリントン夫妻は、「われわれはカネを受け取ったかもしれないが、何も憶えていない。誰がカネを出したのか、われわれは何も知らない」と言い張って、逃げてしまった。
(同上)

ここで、再度疑問がわきます。なぜクリントン夫妻は、中国から違法な金ももらい、しかもFBIがそれを知りながら、罪に問われないどころか、出世し続けることができたのか

1992~96年のFBIとNSAの盗聴活動により、中国政府の首脳部が米国政界に対して大規模な贈賄工作を実行していることは明らかであったが、国務省・ペンタゴン・司法省・CIAは、この大規模な贈賄工作を止めることはできなかった。たぶんこれらの組織は、政治的な理由から動けなかったのだろう。
(同上)

FBI、NSAは知っていたが、「国務省」「ペンタゴン」「司法省」「CIA」は、「政治的な理由」から動けなかった(!)。伊藤先生は、さらに解説をつづけます。

米民主党の政治家たちが中国から収賄しているというニュースがアメリカのマスコミに載るようになったのは、1996年後半である。

 

~中略~

 

この大規模な贈賄工作が、中国政府のスパイ組織による深刻な外交問題であるという解説記事が米マスコミに載るようになったのは、1997年の春以降のことである。
(同上)

これを受けて、FBIは、事実関係の調査に乗り出した。ところが…。

しかしFBIと連邦政府検察官による贈賄事件の捜査は、数か月しか続かなかった。1997年初頭、ホワイトハウスの命令を受けた司法省が、この件に関する捜査を打ち切る決定を下したからである。
(同上)

しかも、「露骨な圧力」があった。

この事件の捜査を続行するために独立検察官を任命することを主張したキャリア検察官、チャールス・ラベラは、即刻、解雇された。他の検察官たちはラベラが即座にクビになったのを見て、「この事件には、深入りしないほうがよい」と理解した。
(同上)

ここでわかるのは、「アメリカは三権分立の確立された理想的な民主主義国というのが幻想だ」ということ。アメリカにおいても、中ロ同様、「政治司法より強いのでしょう。

ヒラリーさんは、いわゆる「私用メール問題」も逃げ切りました。今回の「FBI幹部買収疑惑」も、おそらく大騒ぎにならないと思われます。

ここまで読まれた皆さんは、きっと「反吐が出そうだ!」と思われていることでしょう。しかし、ヒラリーさんは、日本の軍事同盟国アメリカの大統領になる可能性が高い人。中国に対抗するためには、「大事にしなければならない人」。とはいえ、彼女に関する「不都合な真実」も知っておくべきですね。

image by: Joseph Sohm / Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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