籾井会長への挽歌
【読売】は1面の下の方に基本的な情報の記事。2面に新会長上田氏の人物紹介の「顔」欄、さらに13面に解説スペシャル。まずは見出しから。
- NHK会長に上田氏
- 三菱商事元副社長 常勤経営委員
- 人選難航「身内」で決着
- NHK改革へ 異例の起用
- 受信料制度 見直し控える
uttiiの眼
《読売》は、1面記事でハッキリと「就任当初から言動がしばしば物議を醸したことなどが経営委から問題視され、1期のみで退任となった」と、籾井氏退任の理由を書いている。
では、その「物議を醸した言動」とは何か。
具体的な事例として《読売》が指摘するのは「ハイヤーの私的利用」のみのようであり、各紙が指摘する「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」などの安倍政権寄りの発言は眼に入らなかったらしい。紙面のどこを見ても記載されていないことに、あらためて驚く。もしかしたら《読売》は、その種の「政権寄り」は当然のことであり、NHK会長として正しい態度だと思っているのかもしれない。
逆に《読売》が協調するのは、籾井氏の「業績」の方だ。
13面「解説スペシャル」は、15年度決算で受信料収入が過去最高を記録したこと、放送センターの建て替え基本計画をまとめたことなどを「実績」として紹介、逆に、経営委員が会長になる今回の人事に対する「違和感」(NHK幹部)を言挙げしている。
さらに、籾井氏が受信料値下げの財源とした繰り越し余剰金800億円について、上田氏には「収支均衡の原則からかけ離れている財務状況を是正することが求められる」と、まるで、受信料値下げを否定されたことに対する意趣返しのような物言いまでする始末。
どこか「籾井退任」が悔しい様子の、今朝の《読売》。