「お金はあとからついてくる」という言葉、誰しも聞いたことがあるかと思いますが「そんなの成功者の戯言だよ」と聞き流してはいませんか? しかし、メルマガ『伝授!潜在意識浄化法』の著者・齋藤翔さんは、この言葉はお金を増やす方法の「本質」を突いていると語ります。この世に「お金を増やす方法」など本当にあるのでしょうか? 齋藤さんが説く「お金を増やすプロセス」とは?
お金は本当にあとからついてくるのか
前回、文章を書く際の「入れどころと抜きどころ」の話が出てきましたね。
「何が大事?」の問いかけです。
この問いかけをするかしないかで、文章が意味あるものになったり、無意味なものになったりします。
もっとも、書く人は「大事だと思うから書いている」んですよね。
だから、「誰にとって」の意識を忘れないように気をつけましょう。
「私にとって大事」なら自分本位の文章になるし、「読み手にとって大事」なら相手本位の文章になる。
「読み手にとって大事」かどうかは、常に正確に把握できるとはかぎりません。だから文章は難しいんですよね。
「お金はあとからついてくる」という言い方を聞いたことはありますか?
経済的にうまくいっている人が、よく口にする台詞ですね。
「好きな仕事を夢中になってやっていたら、いつの間にか成功していた。一生懸命やっていれば、お金はあとからついてきますよ」という具合に使われる。
しかし、「お金はあとからついてくる」とは、本当なのでしょうか。
「自分が○○をしたから」ではなく「相手が○○を喜んだから」
分かりやすいので「お金」で話をしますが、「ほしいもの」を手に入れるプロセスはすべて同じなので、置き換えて読んでみてください。
といって、「私のほしいものは特殊なので──」という置き換えになったらズレてしまうのですが、ずっとレッスンを受けているあなたなら大丈夫でしょう。
「お金がほしい」「お金が必要」と思ったとします。
具体的に、「○○を買うために」「○○したいから」という目的や欲求の実現手段として「お金が必要」に行きつくのが普通です。
次に、必要な額のお金を手に入れる方法を考えますね。
仕事をする人もいれば、投資を考える人もいれば、宝くじを買う人もいる。
子供の頃なら、まずは「親におねだり」でしょうか。
大人のあなたは「仕事」を考えるでしょう。宝くじではあてになりませんからね。
プロとして仕事をしているなら、仕事が評価されれば報酬が増えます。
「仕事が評価される」とは、上司に褒められることも含まれますが、本質は「お客さんが増える」「お客さんからお金をいただける」ということ。
「仕事への評価が高まると、お客さんからいただくお金が増える」──これが仕事の本質であり、ほしいものが手に入る本質的なプロセスです。
「仕事への評価」とは、お客さんが喜んだ、お客さんの役に立った、ということ。あくまでも相手本位なんですよね。
お金をいただけるのは、「自分が○○をしたから」ではなく「相手が○○を喜んだから」。
画家が「おれの描く絵は芸術だ。素人の注文でほいほい描くつもりはない」と気取って、注文に応じず好き勝手な絵を描いて、結果的にまったく売れなかったとしたら、仕事をしていることにはなりません。
お客さんを喜ばせていないのだから、自己満足のアマチュアです。
「やりたいことだけをやって食べていける」のが理想と思うかもしれませんが、非常に危なっかしい考え方でもあります。
「やりたい」は自分本位だからです。「お客さんが喜んでくれること」と「自分がやりたいこと」を先に一致させなかったら、たんに好き勝手にふるまっているアマチュアに過ぎないので、お金はいただけません。
「絵を描くのが好き」程度の漠然とした捉え方で全体を「やりたいこと」とするなら、大丈夫。
しかし、「画材を買いに行くのは面倒くさい」「画商とお金の話をするのは苦手」等など、付随する行為を細かく分けて「これは好き、これは嫌い」と選り好みしたら成功しません。
絵にまつわるすべてをひっくるめて「好き」と背負い込むつもりなら、「やりたいことだけをやって食べていける」ようになるでしょう。
さて、あなたはプロだから、仕事でお金を手に入れることに決めた。
自分のビジネスをもっと充実させて、収入を増やす、という方向です。
何をしたらいいかを具体的に考える
そうなったら、次は具体的に「何をするか」を考えますね。
まだこのあたりの思考では、「お金」が意識にあってかまいません。
ということは、ある時点から先は「お金、お金」はノイズになり、意識から外れる必要がある、ということですよ。
入ってくるお金を増やす方法は、「お客さんの数を増やす」「購入額を上げる」「購入頻度を高める」の3つしかないので、それぞれにプラスになる行動を考えたらいいのです。
「お客さんの数を増やす」には、「新しいお客さんを増やす」のと「今までのお客さんが減らないようにする」の2つがあります。
という具合に、有効な思考は道がある程度は決まっています。
「新規顧客」「見込み客」「流出」みたいな難しい用語を使おうが使うまいが、本質はなんでも同じです。
すべてに共通するから「本質」なんですよね。
あなたの仕事が「月額いくら」と決まっている「習い事」だとしたら、「生徒数を増やす」は真っ先に検討するでしょう。
購入額は月額いくらと決まっていますが、変えられないわけでもないでしょう。購入頻度は「月額だから月に1回と決まっている」と思うかもしれませんが、そこに別の商品を追加してはいけないなどと決められてはいない。
学習塾のフランチャイズに加盟しているような場合は、勝手に金額を変えたり商品を増やしたりできないケースもありますが、その場合も「許される範囲で何ができるか」「現状では認められていなくても、交渉したら認めてくれるかもしれない」と考えて、有効な思考を続けます。
こうして、具体的に何をするか、何に力を入れるかを決めるのです。
「力の入れどころ」ですね。
それ以外の行動はすべて「抜きどころ」です。
ここに至って、お金の意識は「抜きどころ」となります。
依然として「お金がほしい」と思っていたら、スタート地点から進んでいないことになります。
考えてもしょうがないことは考えない
「考えてもしょうがないことは考えない」というレッスンがありましたね。
「有効な思考、無効な思考」です。
仕事で具体的に何をするか、何に力を入れるかを決め、行動に移す段階に至ったら、「お金がほしい」は無効な思考です。
なぜなら、「お金がほしい」という思考あるいは思念は、結果的にお金が入ってくるためのいずれの要素にとっても、なにひとつプラスに働かないからです。
スタートは「お金がほしい」であっても、プロセスのある段階から先は「お金がほしい」という感情はむしろ「思考の無駄遣い」「脳の疲労」にしかなりません。
空手家の「勝ちたいと思う気持ちすら雑念(ノイズ)」と同じですね。
勝ちたいなら、勝つのにプラスになる要素を強化し、負ける要因を排除していく必要がある。
たとえば、上段回し蹴りのスピードを1割アップ、下段回し蹴りの体重の乗せ具合を改善することによって、勝利が確実になると分かったら、もう「勝ちたい」という思いは要らない。
上段回し蹴りのスピードと、下段回し蹴りの重さの改善のみを考え、一点集中で練習する。
この2つが強烈にレベルアップすれば、結果として勝利が手に入る。
当然の結果として。
「勝ちたい」は、勝利にとってプラスにならないのだから、「考えてもしょうがないこと」です。
ここをあなたには「そんなの当たり前」レベルまで理解してほしい。
お金は「有効な行動をしていれば」「当然の結果として」やってくるものであって、お金をいつも意識して目指そうとしてもうまくいきません。
脳は思考や感情に膨大なエネルギーを浪費してしまうので、「無効な思考」は失敗のもとです。
そして、「無効な思考」の中には、「お金がほしい」も含まれているのです。
これが「お金はあとからついてくる」のメカニズムです。
どんな順序で何を考え、何をするかが大事。
「お金はあとからついてくる」の前に、「有効な思考のみに集中すれば」という条件節が付いているのでした。
次回はさらに具体的にお話しするので、まずはここまで理解して、あなたの中にしっかり入れておいてください。
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