日本国内の破綻事例
夕張市の事例は国と自治体では財政規模が違うので同様には扱えないが、破綻するとどうなるのかというシミュレーションとしてはわかりやすいので紹介したい。夕張市は2007年に353億円の財政赤字を抱え破綻。現在、財政再建中で今年11年目に入り95億円を返済したが、そのシワ寄せは市民にきている。重い負担と最低限の住民サービスを嫌がり、人口が1万3,000人余から9,000人にまで減少。市議会定数は18人から9人とし、さらに今年の1月末に全国最小の8人にまで削減した。
そして、市長の給与も86万2,000円から25万9,000円に減額。東京から派遣された若い鈴木直道さんが市長を務めている。さらに、東京23区より広い地域だが児童・生徒数が半減し小学校は一つ。スクールバスを全域に配備できないため児童・生徒の6割が一般のバスで通学。市の病院は規模縮小で診療所となり病床は171床から19床となった。財政破綻はこのように地域住民などが困難な状況に陥る。
このまま日本全体に当てはまるとはいえないが、財政破綻し国債が売れなくなったら金利は急騰し、抜本的なリストラが必然で国民生活にシワ寄せがくることは間違いない。
累積債務は1,000兆円!
先に挙げた2020年度の借金およそ8兆3000億円は一人あたりに換算すると815万5,000円だが、労働人口で割ると一人あたり1,600万円となる。日本は世界からお金を借りていないから大丈夫とは言ってはいられない状況で、これまでは財政の不足分を国債の発行で補っていたが国債の人気が芳しくないのでそれを日銀が買っていた。そういうことができなくなる可能性は十分にある。
とにかく収入の範囲内で支出を抑えるのが第一。安倍首相含め民間が外に向けておカネをばらまいているが、もうそのようなことはできない状況だと正直に言った方がよい。消費税率の引き上げをこれまで2度延期したが、8兆円の赤字をなくすためには13%くらいの消費税率にしなくてはならないが、現状を考えるとこれは現実的ではない。社会保障費の無駄をなくすよう国民全体で考えることも必要だ。
すでに、累積債務額(公債残高)は1,000兆円を超えている。この金額からも日本の借金はのっぴきならないところまで来ている状況であるということを我々国民も一人ひとりが気が付かなくてはならない。
(TBSラジオ「日本全国8時です」2月7日音源の要約です)
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