一方、1億円以上の金融資産を持つ富裕層は安倍政権発足以前の11年に比べ40万世帯増えている(野村総研調べ)。この結果、約2%の世帯が全体の2割の資産を持っていることになる。アメリカでは上位約3%の富裕層が全体の半分の資産を持つが、日本でも富裕層への富の集中が進行しているようだ。
実際、年収1億円以上の上場企業の役員数は16年に414人に増え一人当たりの平均年収も2億円を超えた。一般的な給与所得者でみると、800万円以上の高所得者層はここ5年間で2ケタ増となっているが、逆に500万円以下の中低所得者層の所得の伸びは4%増にも達していない。
特に非正規社員だけをとると平均年収は300万円にも満たない日本でも着実に所得の二極化が進み、しかも、中間層は全体に下落傾向にある。
過去の歴史をみても、消費が増え、社会が豊かになり安定化してゆくのは、中間層が増大している時だ。逆に中間層が細り没落してくると、社会は荒れ、消費力も国力も落ちてくる。現代社会は欧米も日本も、旧共産圏も中間層が減少化傾向にあるといえる。