「事実は小説よりも奇なり」などという言葉がありますが、まさにそれを地で行くよう書籍が話題になっています。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが紹介しているのは、ちょっと信じがたい実体験が綴られた1冊です。
『実録 水漏れマンション殺人事件 』
久川涼子・著 新潮社
久川涼子『実録水漏れマンション殺人事件』を読んだ。マンション居住者はぜひ読むべき本、かもしれない。あまりな出来事の始まりから終わりまで、しっかりレポートされていて、じつに読ませる内容であった。しかも法律の勉強になる。こんな理不尽な目に遭った著者には気の毒だが興味津々である。
- 落水→殺人→巨額の工事費→業者の水増し請求→保険金出し渋り→傷アリ物件の処理→賠償裁判→法律の壁
という流れで、ものすごくリアル。著者が著述業だったからできたレポートである。普通の人なら、パニックの連続でとても記録も記憶もできないだろう。著者はこの難局をじっくり観察し記録する。
それなのにエンターテインメント。「『災難はいつ誰に起きるか分からない』といわれますが、実際に起きちゃったんです。しかも弩級のが。それはもうマンション被害の宝庫、あるいは吹きだまり」なんて帯にあるが、さすが気丈な著者も号泣が止まらない夜があった。とにかく問題な業者がゾロゾロと。