年金が優遇される「専業主婦」は本当に得なのか、比較検証してみた

 

というわけで同じ厚生年金世帯でも入ってくる収入が同じだと負担も支払われる年金も同じになるから不公平は生じてはいない。だから、単に「私は保険料払ってるのにあの人は保険料支払わずに年金貰えるなんて許せない!」っていう感情的な事で批判が噴出している。

サラリーマンや公務員の扶養に入ってる人は、年金保険料を支払わなくていいわけですが、厚生年金に加入している人の扶養に入ってる妻は同時に健康保険の扶養に入って、妻だけでなく子供の分の健康保険料支払わなくても夫一人分の健康保険料のみ支払って3割負担(小学校入学前の子は2割)で医療が受けれるわけですが、健康保険の保険料免除されて医療が受けられるのはいいけど年金受けられるのはダメ! ってのもおかしな話であります(^^;; 健康保険の部分についてはあんまり話題にならない

さて、第3号被保険者が出来たのは、昭和61年4月1日からでこの年から20歳から60歳までの日本国民全員を全て、強制的に国民年金に加入させるってなって(昼間学生は平成3年4月から強制加入)、国民全員共通の基礎年金制度ができたんです。

まあ、国民年金制度が出来て強制加入になったのは昭和36年4月1日からですが、昭和61年3月31日までのサラリーマンや公務員の扶養に入ってる20歳から60歳までの妻は国民年金には強制加入ではなく、加入してもしなくても構わない任意の加入でした。

なぜなら厚生年金というのは、国民年金のように一人が所得に関係無く定額の保険料を支払って個人単位で与えられる年金ではなく、所得に比例して厚生年金保険料を支払って夫一人の厚生年金で夫婦二人の生活をカバーする「世帯単位」で面倒を見る年金だったから妻がわざわざ個人で国民年金に加入しなくても、老後は夫の厚生年金で面倒を見るから妻の国民年金加入は強制にはしなかったんです。夫が死亡しても遺族厚生年金として妻の生活保障がされますし。

ただ、このままだと将来離婚した時は妻には何の年金も支払われないし、国民年金に加入していない場合は障害を負った時に障害年金も出ないというリスクを持っていました。だから、昭和61年4月1日からサラリーマンや公務員の妻であろうと強制的に国民年金に加入させて第3号被保険者として女性の年金権を確立させたんです。

できた当初は世間もマスコミもとても評価して、批判も特別無かったんですが、ちょうど「男性はサラリーマンで妻は専業主婦」という世帯数よりも共働き世帯数が逆転した平成9年(1997年)ごろから第3号被保険者は優遇されてる! 不公平だ! って特に働く女性からの声が強くなってきました。

今現在も第3号被保険者は廃止しろ! って声は多く、その為女性の雇用を増やして厚生年金に加入させる形で第3号被保険者を減らそうという動きが出てきました。

確かに、厚生年金加入者を増やせば年金受給者を支える人数は増やせるし、第3号被保険者制度を無くしたいのなら方法はこれしかありません。ただ、半ば強引に第3号被保険者制度を廃止するのであれば900万人もの人達の保険料負担を一体どうするのかという問題もあります。記事の最初の方で計算した厚生年金世帯の年金額と保険料負担は一致するわけで、そんな中で第3号被保険者に年金保険料を負担させるとなると位置付けが難しくなる。

またサラリーマンの扶養に入っていれば第3号被保険者になると同時に健康保険料支払わずに医療を3割負担で受けれる健康保険はどうするんだろう? っていう面もあります。あらたにこちらも保険料を個別に負担させるのか。

ちなみに、僕としては第3号被保険者制度に対しては反対はしてはいません。とはいえ、女性が社会進出するのも社会のニーズに合っていていいのではないでしょうか。

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