年金が優遇される「専業主婦」は本当に得なのか、比較検証してみた

 

しかし、未だ第3号被保険者の大半を占める女性の不利な雇用環境(女性が出産育児で退職した後の不利な再就職や低賃金)、そして不利な社会慣行(女性が家事育児介護を行う事)が多いので、第3号被保険者制度を廃止しようというのはあまり良い事とは思っていません

昭和50年から一人の女性が一生の間で産む子の数を表す合計特殊出生率は2.0を切り、平成17年の1.26を底に今は1.46です。若干回復傾向ではあります。

夫は朝から晩まで働きに出て、会社の命令一つで単身赴任や海外赴任をさせられ、いろんな世帯が母子家庭のようになり、この上女性もどんどん雇用を促す事により、少子化の中、子供も孤立し、ますます家庭がバラバラになっていくんじゃないでしょうか。

企業や女性の力は強くなりましたが、弱くなったのは男性と家庭の力といったところです。企業の力が強くなった裏側には活力の源である家庭の犠牲があったわけです。

今の年金受給者を支える為にも雇用促進するのは結構な事ですが、これから年金を貰う人達は今の子供が支える事になるわけで、今年8月からは約64万人の無年金者を救済する為に年金受給資格期間を25年から10年に短縮して無年金者を無くそうと年間650億くらいの財源を使うようですが、今更そんなところにお金を使うというのはやはり僕としてはなんだかなぁ…といつも思うわけであります。

前年の1年間の年金支給額が57兆円程だったのでそれに比べたら随分低い金額ではありますが、受給資格期間を短縮したところで根本的な年金問題の解決にはなりません。今更何やってんの!? って思う。まあ、既に決まってしまったから仕方ないんですが…。

ちなみに一部を除き(国民年金に強制加入になる20歳前から障害をお持ちの人へ20歳以降支給される障害基礎年金等)、社会保険は福祉ではありません。毎回言ってるけど保険なんです。保険は自助努力の精神で成り立つものです。「天は自ら助くる者を助く」って昔からの言葉がありますが、社会保険も自ら助くる者を助くわけです。

年金強制加入になる20歳から最大加入できる70歳まで50年間あるわけで(厚生年金は20歳未満でも加入対象になる)、30代の僕ですら、とっくに10年以上の年金保険料納付済期間があるわけです。

年金は20歳から60歳までは強制加入ですが、10年年金を認めるという事は、30年未納を事実上認める事になります。10年加入すればもう年金に加入しなくていいと勘違いしてくる人も増えるでしょう。

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