吉野家が「出前館」を利用する問題点とは?
さて、『出前館』にデリバリーをアウトソースすることによって、吉野家は低コストで売り上げアップを図ることができますが、決してすべてがいいことばかりではありません。
やはり、注意すべき点も少なからず存在するのです。
それは、出前館のサービスは独自資源ではなく、効果があると業界に知れ渡ればライバル企業も容易に利用できるというポイントです。
効率的で効果の高いデリバリーサービスが「排他的」に利用できるならば、吉野家にとってデリバリーサービスは新たな武器と成り得ますが、アウトソースでライバル企業も利用できるのなら、全く強みにはならずに長期的な競争優位を築くことはできないのです。
また、たとえデリバリーが売り上げアップに効果があるとわかっていても、エリアの拡大は自社の力ではどうにもならず「出前館」に委ねられるというポイントも制約条件になるといえるでしょう。
いずれにしろ、7店舗では売り上げアップへの寄与もそう期待はできないことから、今回の戦略的提携は今後のデリバリー拡大への布石と思われます。
果たして、デリバリーの導入よって、吉野家は順調に売り上げアップを図ることができるのか?
注目が集まります。
image by: TK Kurikawa / Shutterstock.com
安部徹也さんの新刊
『マンガでやさしくわかるブルー・オーシャン戦略』
日本能率協会マネジメントセンター・刊 好評発売中!