「ケータイ欲しい! クラスの友達はみんな持ってるよ!」。お子さんが突然こんなことを言い出したら、どのように対応しますか? 誰もが「持たせるべきか否か」ということに頭を悩ませるのではないでしょうか。しかし、無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』には、その結論よりももっと重要な「親子の話し合い」の必要性が記されていました。
ケータイ欲しい!
ご相談をお受けしていて変化を感じることが「携帯電話」関連の相談の増加と内容の変化です。
以前は、すでに携帯電話を持っている中高生のお子さんについて、使い方・利用料金などをどう話し合えばよいか? とのご相談が多かったのですが、ここ1~2年は「小学生のお子さんに携帯電話を持たせるべきかどうか?」のご質問をいただくケースが増えています。
中でも、いちばん悩みが深そうなのは、「子どもは欲しがっていて、親は持たせたくない」ケース。もし同じような悩みに直面することがあったら、これからご紹介する内容─スタンスと対応法─を、ぜひ参考にしてみてください!
0.スタンス
まず最初に、親としての心構えについて。何よりも気を付けるべきは、「携帯を持つ」か「持たないか」の枠組みにならないように! です。
「遅かれ早かれ、興味を持った子どもは必ず持つことになる」と冷静に認識して、「その時期が、今が良いのか、もう少し先が良いのかを、本人と一緒に考える」という姿勢で臨みましょう。
1.与えたくない理由
子どもと話し合う前に、先に自分だけで、なぜ買い与えたくないのかを整理しておきましょう。最終的には箇条書きにできるくらい整頓できると、その後の子どもとのコミュニケーションがわかりやすくなりますよ。例えば、
- 端末代金、毎月の利用料金でお金がかかる
- 携帯をいじる時間が増えて、親子のコミュニケーションが減ってしまいそう
- いじめや犯罪に巻き込まれる原因になる恐れがある
- 使い方のルールや利用の制限などを話し合う必要が出てくることが予想され、親子で衝突しそう
- 目が悪くなりそう
などなど。思っていること、出し切ってみましょう。
2.自分(親)の思い
先ほど挙げた「理由」をひとつひとつ、「私(お父さん/お母さん)は、○○と感じている」の形に書き換えます。
例1:「端末代金、毎月の利用料金でお金がかかる」
→「お父さんは、毎月の利用料金でお金がかかって、生活に使えるお金が減ってしまうことが心配だ」
例2:「いじめや犯罪に巻き込まれる原因になる恐れがある」
→「携帯電話で使えるサービスが元になって、いじめや犯罪に巻き込まれる子どものニュースをよく見かけるので、お母さんは、携帯を持ったせいでミナちゃんが怖い思いをしてしまうんじゃないか、と心配している」
その時、結語にネガティブな表現が来やすいので、できるだけポジティブな(子どものことを思う気持ち)表現を使うようにしましょう。これも、その後の子どもとの会話の中で不要な摩擦を起こさず話に集中するうえで役立ちます。
「○○になるのが嫌だ/困る」→「○○になってしまうのが心配」
「○○だとマズい/良くない」→「○○だったら良いなぁと思う」
3.子どもの意見
ここまで済ませた上で、子どもと話し合いましょう。まずは、子どもの言い分を聞くことに徹します。「なぜ欲しいか」「持っていると、どんな時に/どんなふうに嬉しいことがあるか」などを尋ねて、欲しい気持ちを話しきるまで聞き通します。
「言いたいことを聞いてもらえた感」が得られると、人の話を聞く気が出てくるものです。先に親の考えを伝えるより、はるかにコミュニケーションがスムーズになりますよ。
加えて、最後に「持つことの悪い面」についても、子どもの考えを聞くのも良いでしょう。
良い面・悪い面の両方があることを子どもに思い出させる効果がありますし、子どもがリスクをどこまで認識できているのかもわかります。
4.親の意見
一通り聞き終わってから、親の意見を伝えます。
最初にも伝えましたが、この時に「買いたい人vs買いたくない人」の対決にしないように気を付けましょう! あくまでも「携帯電話を持つことのメリット・デメリット」について2人で知っている情報を持ち寄ることで検討材料を豊富にして、ベストな判断を一緒に作る、の姿勢が大切です。
伝えるときは、2.で考えた内容を、感情的にならず淡々と。
なぜ「感情的にならず淡々と」かと言うと、感情的になると、子どもの注意が「親の感情の起伏」に向いてしまい、「話の内容」が届かなくなってしまうからです。
5.相談&判断
一通り伝えたら、判断すべく相談しましょう。必ず相手を一人前の人間として、「あなたの希望も大事、そしてそれと同じくらい私の心配も大事」のスタンスで。
もし判断が難しければ、時間をかけることを提案する方法もあります。
「今すぐお互いに納得できる案が浮かばないから、一旦相談をやめて、また明日相談することにしないかい? 何か良い方法がないか、明日までお父さんも考えてみたいから」
その代わり、約束の期日には必ず再度話をすることが大事です。そうしないと、ただの「引き伸ばし・先送り作戦」と感じられてしまいますからね。
持つ/持たないの結論は、家庭によって異なると思います。私としては、
- 双方が自分の思いをしっかり言えて、
- 双方が相手の思いをしっかり聞けて、
- 双方が納得できる結論が得られる
ことを、強く願っています。そのために、今回の内容が少しでもお役にたてたら嬉しいです!
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