MAG2 NEWS MENU

地球温暖化は真っ赤な嘘? 元お天気キャスターが語るホントの話

国際社会において、よく議論されている環境問題のひとつ、温暖化。実際のところ、温暖化ってどこまで進んでいるのでしょうか? 最近この温暖化についての質問をよく受けると話す、メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で、元「ニュースステーション」気象予報士にして、元ANA国際線のCAでもある河合薫さん。温暖化事情について、わかりやすく解説しています。

温暖化は真っ赤な“ウソ”??

「温暖化ってホントに進んでるの?」ーーー。 こんな質問をここのところ立て続けてに受けています。

はい、そうです。

トランプ大統領が「バリ協定離脱」を発表したことで、 「温暖化否定してる学者もいるよね? 実際のところどうなのよ?」と、 温暖化懐疑論が再燃しているのです。

そもそも二酸化炭素が増えるとなぜ、地球が暖まるのか

地球は太陽の熱で日中温められると同時に、地球自身も熱を放出しています。こちらは昼夜問わず四六時中出ているので、結果的に出る量の方が多く、 地球はどんどんと冷えていく“はず”でした。ところが、そうならなかった。二酸化炭素があったからです

二酸化炭素が「お布団」の役目をして、出て行く熱の一部をシャットアウトして くれたおかげで、地球の平均は15度に保たれているのです。

そのお布団が最近はどんどんと厚手の布団になってきた。 昔は薄手の夏掛けだったのに、このまま放っておくと暑くてたまりません。

「じゃあ、みんなで布団が厚くなるのを阻止しようぜ! みんなでやればなんとかなる!」

これがパリ協定などの環境枠組み条約です。

では、お布団はホントに厚手になってきているのでしょうか?

確かに、温暖化にはいまだ“不確実性”が残っていることは事実です。

しかしながら、「温暖化のウソ論」を裏付ける化学的根拠は、一切認められていません。

例えば、ウソを訴える学者は……、

温度が上昇しているのは二酸化炭素によるものではなく、 「太陽活動の影響だ」「ヒートアイランドの影響だ」といいますが、 これらの影響を加味し分析しても、現在の気温上昇率の説明から、 二酸化炭素の増加分の影響を取り除くのはムリ。

 

◎「実際には気温はあがっていない」などと批判しますが、こういった人たちは 「上昇していない地点」のみ取り上げている。 気温上昇は一様に起こるものではなく、地域差があるという大原則を 無視している。 また、気温の変化は線形ではなく、最初は極めて緩やかで。ある時点から 爆発的に変化する。

 

◎「地球は温暖化ではなく、氷河期に向かっている」という人は、議論の“ものさし” を都合よく変えているだけ。

一万年単位でみれば現在は「間氷期」。 温暖化の議論は、100年単位を問題にしている。 といった具合に、誤解、曲解、時間的・空間的スケールなどを、都合よく用いている だけに過ぎません。いわゆる“チェリーピッキング”を多用することで、 自分の主張があたかも「科学的エビデンスに基づいている」かのごとく主張しているのです。

つまり、「温暖化はウソかもしれないし、ホントかもしれない。 ただし、今のところウソを裏付ける証拠は全く確認されておらずホントを裏付ける証拠はいくつも確認されている」というのが、正解!なのです。

今から100年以上前の産業革命初期のストックホルムで、汚染で黒ずんだ空に点在する 煙突をみながら、科学者のアレニウス・スヴァンテはこう呟きました。

「今、スカンジナビアで、ロンドンで、パリで、ニューヨークで燃やされている石炭は、 世界中の人の暮らしに役立っている。 しかしながら、この素晴らしい発展は未来に黒い陰を落とすに違いない。 そして、そのことに多くの人たちが気付いたときは、既に手遅れになっているだろう」ーーー。

私が「ニュースステーション」でお天気キャスターをやっていた1990年代後半、 福岡で1時間97ミリの雨が降りました。

「河合、1時間100ミリってどんな雨なんだよ。体感してこい!」と 筑波の気象研究所に急遽行かされ、 「久米さ〜ん、今から100ミリの雨を降らせてもらいま〜す(人工的に降らせる施設)」と、 番組のトップニュースとして中継しました。

その数年後から1時間100ミリは各地で頻発。

ゲリラ豪雨という呼び名が普通に使われるようになりニュースにもならなくなった

春と秋が短くなり、猛暑、酷暑、竜巻、大雪、短時間豪雨、落雷が増え、 誰もが「最近、天気おかしいよね?」と思うようになりました。

スヴァンテの予言(?)どおりなら、「時すでに遅し」、なのかもしれないのです。 それでも最新の科学は、「二酸化炭素をみんなで協力して減らせば、失われる命を最低限にできる」と訴えている。

昨年、9月にそれまで消極的だった中国の習近平国家主席とオバマ米大統領(当時)が 「パリ協定」に批准。2人の握手する姿は世界中を感動させました。110超の国・地域が批准するなど、人種や紛争を越え、国境を越え、「二酸化炭素削減」 という共通の目標に向けて手を取り合いました

個人的には、これだけでも素晴らしいことなんじゃないか、と。

戦争や紛争は絶え間なく続いているけど、温暖化という枠組みであれば 「みんなで一緒にやっていこうよ」と仲良くできる。

科学的にうんぬん以前に、 人権的に素晴らしいことだと思うわけです。

そもそも“ECO”って何の略だか知ってますか?

「ECOというのは、Environmental Children’s organizationの略です。カナダの12歳から13歳の子どもたちの集まりで、今の世界を変えるためにがんばっています。 大人のみなさんにも、是非生き方を変えていただくようお願いするために、自分たちで費用 を貯めて、カナダからブラジルまで一万キロの旅をしてきました」

これは1992年6月に、ブラジルのリオで行われた環境サミットに参加した、 セヴァン・スズキさんという12歳の少女が行った“伝説のスピーチ”の冒頭のフレーズです。

ECO=Environmental Children’s organizationーー。

こう考えれば、「パリ協定」、温暖化対策の大切さがおわかりいただけるかと思います。

 

image by: Shutterstock

 

河合 薫この著者の記事一覧

米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
「自信はあるが、外からはどう見られているのか?」「自分の価値を上げたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストッピクスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい」という方の参考になればと考えています。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』 』

【著者】 河合 薫 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 水曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け