さて、僕の頼んだ「スパイシーカルビラーメン」は悲劇でした。でも、ちゃっこは「ミソラーメン」という賢い選択をしました。相手を信頼できないような場合、やっぱり無難なものを選び、しかも「マズくなりにくい品」を選ぶのは懸命だと言えます。そして、ちゃっこも自分のミソラーメンのスープに口をつけました。そして、彼女は固まりました。
僕は、何が起きたのか理解できず、ちゃっこのミソラーメンを見て、ちゃっこの顔を見て、再びミソラーメンを見て、自分もそのスープに手を伸ばしました。そして一口飲んで仰天しました。
「カレー味や!!」
なぜ、どうして、何をどうしたら、ミソラーメンにカレーを入れる気になったのでしょう?読者の皆さんは、「それ何かの間違いじゃない?」と思われるかもしれませんが、間違いではありません。というのも「(よかれと思って)わざとやった感」が満載なのです。
僕のラーメンにせよ、ちゃっこのラーメンにせよ、カレーを隠し味(笑)にすることで、「よりおいしく」なると信じて作ってしまったという感じがアリアリとしているのです。ちなみに、以前ラーメン屋でちゃっこのつけ麺のつけ汁にかえし(タレ)が入っておらず、まるっきり塩気のないつけダレを出されたことがありました。しかしあれは不可抗力のミスでした。今回のカレー味は、そういった不可抗力ではなくて、明らかな確信犯です。だから、「これ間違いじゃないですか」と苦情を言っても、「これがうちの味です」と返ってくるに違いありません。
ちなみに、僕達が注文しなかったラーメンに「キム・チーラーメン」「ごま・ねぎ・シソラーメン」がありましたが、なぜ「キムチ」と書かずに「キム・チー」とメニューに書いたかという疑問は別として、「この2つもカレー味なのだろうか?」という好奇心
が持ち上がりました。しかし、きっとその答えは知らない方が良いに決まっています。
ということで、ちゃっこも僕も、お腹が空いていたにも関わらず、ラーメンを完食することができませんでした。店を出る時にちらっとトイレ臭い厨房を覗いたら、案の定、メキシカンっぽいお兄ちゃんと、南米コロンビアっぽいお兄ちゃんが料理をしていました。むしろ、メキシコかコロンビア料理を作ってもらいたかった…。
帰り道、ちゃっこがぼそっと「でも、ラーメンの上に乗っていた冷凍コーンは美味しかったよ」と言った言葉が非常に印象的でした。次はもっと美味しいものを食べさせてあげようと心に決めたのでした(笑)。