年金にもかかる「税金」を、少しでも減らす裏ワザがあった

 

というわけで、扶養親族等申告書を出すか出さないかでどのくらい源泉徴収税額が違うのか見てみましょう。というわけで事例。計算はザックリです(^^;;

1.昭和24年6月28日生まれの男性(今68歳)

例えば、年金は老齢厚生年金130万円。国家公務員共済組合からの退職共済年金30万円。配偶者加給年金38万9,800円。老齢基礎年金75万円。年金総額は273万9,800円。63歳の妻有り(収入は現在老齢厚生年金の40万円のみ)。

この夫は日本年金機構からの年金が158万円を超えてるから、扶養親族等申告書が毎年10月下旬に日本年金機構から届くので提出しないと翌年の2月支払いの年金から源泉徴収される所得税がめちゃくちゃ高くなる

ちなみに、共済組合からの退職共済年金は80万円以上(65歳未満は108万円以上)だと課税対象になり、共済組合からも扶養親族等申告書が送られてきますが、30万円だから送付対象外。よって以下の事例の源泉徴収は日本年金機構からの年金のみとなる。

273万9,800円-退職共済年金30万円=243万9,800円

ア.日本年金機構に扶養親族等申告書を出した場合(年金は2ヶ月分支払うから年金総額を6で割って所得税を出してます。243万9,800円÷6=40万6,633円)。

まず基礎控除→(40万6,633円×25%+6万5,000円×2ヶ月)=10万1,658円+13万円=23万1,658円年金の基礎控除)。

ただし、基礎控除は月最低13万5,000円(65歳未満は9万0,000円)使えるので、2ヶ月分に直すと27万円の基礎控除。こちらの27万円の年金の基礎控除を用いる。

配偶者控除は3万2,500円×2ヶ月=6万5,000円。

偶数月の年金から天引きされている社会保険料を仮に4万円とします。

※参考

65歳以上になると、社会保険料(介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料)や個人住民税は原則として年金からの天引きになります(65歳になって特に何もなければ大体半年~1年くらいで天引きが開始になる)。この社会保険料の天引きを年金からの特別徴収といいます。

この事例の男性は複数の種類の年金を受給してますが、天引きされる年金には優先順位があり、この例の男性なら原則として老齢基礎年金から4万円が天引きされる(最優先順位は老齢基礎年金だから)。

天引きされてる社会保険料や個人住民税については年金事務所ではなく市役所に確認してください。年金機構は市役所から依頼されて天引きしてるだけなので、金額の詳細等は年金事務所に問い合わせてもわからない。

で、話を戻しますが、(年金40万6,633円-基礎控除27万円-配偶者控除6万5,000円-社会保険料4万円)×5.105%=1,614円(1円未満切り捨て)。この1,614円が毎回の偶数月支払いの年金から源泉徴収される。

イ.扶養親族等申告書を出してない場合。(年金40万6,633円-社会保険料4万円)の7.6575%が源泉徴収される。扶養親族等申告書を提出されない場合は基礎控除とかその他の各種控除は使えない。だから、(年金40万6,633円-社会保険料4万円)×7.6575%=2万8,074円の所得税が毎回の年金から源泉徴収される。

もし、去年の扶養親族等申告書を「未提出」だった為に今年の年金支払いからこの高い税金が源泉徴収されているなら、今からでもいいので年金機構に扶養親族等申告書を提出しましょう。よく、2月支払い日になると年金振込額がすごく減ってる! って驚かれて原因を探ると大体、扶養親族等申告書の出し忘れだったりするんですよ(^^;;

もしこの事例の男性の場合で今なら2月、4月、6月にそれぞれ2万8,074円の所得税が源泉徴収されていたならば、扶養親族等申告書を提出して各種控除を使って所得税の計算をし直して差額を次以降の年金支払い時、または奇数月に年金振込口座に還付されます。この場合だと2万8,074円×3回=8万4,222円が年金振込口座へ還付。

今の時期に扶養親族等申告書を出しても7月15日還付には間に合わないので、早ければ8月15日支払いの40万6,633円と共に8万4,222円が還付になる。だから年金振込額が49万0,855円になる。8月に間に合わなければ、9月15日に8万4,222円の還付による振込。

ちなみに、何か使える扶養控除を間違っちゃった等で扶養親族等申告書を提出した為に所得税が余分に引かれている場合は、翌年1月1日以降5年以内にいつでも還付申告する事ができます(還付申告は確定申告時期にしないといけないわけじゃない)。ただ、還付申告とか確定申告する時は年金の源泉徴収票が必要です。年金の源泉徴収票は毎年1月下旬に送られてきます。だからそれを待つ必要がありますね。

また、源泉徴収票を紛失した等の場合は年金事務所等で再発行を申請してください。税金の時効の過去5年分の源泉徴収票の再発行は可能

なお、「公的年金の総収入額が400万円以下、かつ、公的年金等以外の所得が20万円以下」なら確定申告する必要はありません。公的年金の総収入額の400万以下というのは、日本年金機構からの年金だけでなく、共済とか基金とか確定拠出年金等の公的年金の部類に入るもの全て。

とはいえ、住民税の申告が必要な場合があるので確定申告時期には必ず市役所に確認してください。まあ、この事例の男性の年金額だと住民税の申告は必要ですね~(^^;;

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