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安倍総理は「腕はあるのに売れないバンドマン」に似てる説

東京都議選で歴史的大敗を記した自民党。「安倍官邸に責任がある」との声も聞かれますが、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で世界情勢にも詳しい北野幸伯さんは、「それでも安倍総理のこれまでの功績は大きく、日本には必要な人である」と評価。その一方で、「国民の声を聞いていない」との苦言も呈しています。

ロシアから東京都議会選挙を見ると

皆さんご存知のように、7月2日、東京都議会選挙がありました。小池知事の「都民ファーストの会が圧勝自民党惨敗。日本のテレビも新聞も、この件だらけでしょう。

ですから、「都民ファーストが何議席、自民が何議席」といった話はしません。「ロシアから今回の選挙を見ると」という話をします。

自民大敗は、「民主主義」

日本では、少し前まで「安倍一強」と言われていました。安倍内閣の支持率は高かった。政党支持率で、自民党が一人勝ち。自民党内では、安倍さんの一人勝ち。ところが、

などなどで、自民党は歴史的大敗を喫した。こういうのをロシアからみると、「嗚呼、日本は民主主義の国だな」と思います。

為政者やその政党が傲慢になり、増長したら、国民は選挙を通してお灸をすえることができる。これができるのは、実を言うと「とてもうらやましいこと」なのです。

独裁への道

民主主義が確立されていない国では、こういうフィードバックが成り立ちません。

為政者は、徐々に政敵を失脚させていく。マスコミを支配下においていく。野党を骨抜きにしていく。そして、気がつけば、「誰も為政者を批判できない」状況が作られている。

私は、日本のマスコミが、毎日安倍総理の悪口を言っているのを見て、「マスゴミめ!」とは思いません。むしろ、日本の全メディアが「安倍総理のされることはすべて正しい」とか言い始めたら、かなりヤバいです。

北朝鮮や中国で許されないことは何でしょうか? そう、為政者の悪口を言うことです。だから、マスコミが総理の悪口を言うのを見て、私は、「日本はまだ大丈夫だ」と思うのです。

それでも、安倍続投が日本の為

今回の大敗で安倍内閣のパワーが落ちるのは避けられません。それでも私は、安倍総理が今後数年、政権の座にとどまることを願っています。

私は、「安倍絶対支持者」ではありません。「3K外国人労働者大量受け入れ」など、いろいろ支持できない政策もあります。では、なぜ安倍総理続投を願うのでしょうか?

日本最大の問題は、「中国」です。中国は2012年11月、「反日統一共同戦線」戦略を打ち出しました。皆さん、ご存知ですね。

(● 絶対必読証拠はこちら→反日統一共同戦線を呼びかける中国

安倍総理は、この戦略が発動された直後に総理になった。2013~14年初めにかけて、総理は中国の戦略にヤラレていました。しかし、その後は、この戦略を無力化することに成功されています

今、日本はどうなっているのか? アメリカやインドと良い関係にある。そればかりでなく、ロシアとも良い関係にある。これは、「驚異的」なことです。総理は、オバマさんの反対を押し切ってプーチンと和解し、なおかつオバマさんと良好な関係を維持した。トランプさんは、自分も「本音親ロシア」なので、日本の邪魔をしません。

安倍総理は、アメリカ、インド、ロシア、その他の国々と良好な関係をつくることで、事実上の「中国封じ込めに成功しているのです。他の政治家に、これができるか? 私は、難しいだろうと思います。

安倍政権存続のカギは、国民のニーズ > 自分の欲求

腕はいいが、売れないミュージシャンAを想像してください。彼はある日、「売れる法則」を知り尽くした「敏腕プロデューサー」と知り合います。プロデューサーは言います。

「君は、腕がいい。俺の言う通りにすれば、売れるようになるよ」

そしてAは、売れるミュージシャンに変貌します。しかし、Aは不満でした。

「売れるようになったが、この低俗な歌はなんだ。俺がやりたいのは、正統派ロックなのだ!」

彼は、敏腕プロデューサーに別れを告げ、自分の音楽を追求するようになります。しかし、ヒットチャートからは姿を消し、以後評価されることはありませんでした。

よくあるこの話の教訓はなんでしょうか? 彼は、敏腕プロデューサーのおかげで、「大衆が喜ぶ音楽」をつくれるようになった。ところが、「エゴ」が顔を出し、「自分のためだけの音楽」をつくりたくなった。それを断行したところ売れなくなった

同じようなことは政治家にもいえます。日本国民は、安倍総理に、「景気をどんどん良くしていってほしい」「日本を、北朝鮮や中国から守ってほしい」などと考えているでしょう。ところが総理は、「憲法改正をして歴史に名を残す」とか、「北方領土返還を実現して、歴史に名を残す」とか、考えているかもしれません。

もちろん、「憲法改正」も「北方領土返還」もいいのですが、「国民がそれを切望しているか?」と聞かれれば、そうでもないでしょう。一方、小池都知事は、都民の声に耳を傾けました。それで勝ったのです。

安倍総理に今必要なのは、「自分がやりたいことをやる」という「エゴ」を抑えて、「国民は何を望んでいるのかな?と問うことなのです。

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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