日本語には存在しないので、あまりなじみがない英語の「冠詞」。「aを使うべきか? theを使うべきか?」、迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。英語の達人で、無料メルマガ「カリスマ英語ナレーターユッキーがお届けする!週間ラジオ英会話♪」の著者ユッキーさんが、「冠詞」の使い方について、わかりやすく解説。冠詞のルールは意外とシンプルのようです。
【冠詞】aとtheの違い
今回のテーマはずばり、【冠詞】です。aとtheの違い、 aすらもつかない時との違い。
これまでのメールの中でも、 aとtheの違いや、可算不可算については 何度かお話してきましたが、このあたりで はっきりさせておきたいと思います。英語は仕組みさえわかれば何ていうことありません。
でも言葉というのはあまりにルールが多すぎて、 またそれを説明するための言葉というのも多すぎて、 困ってしまいますよね。でも本質さえ掴んでしまえば、 どんな英文に出会っても、迷う必要はなくなります。本質というより、正体を暴くくらいの気持ちで ちょっと強気で行ってみましょう!
ちょうど先日、冠詞に関するご質問を いただいていたので、そのQ&Aを そのまま使わせていただきます。
(※私が解説をさせていただいている英語教材 「7+English」の学習者さんからのご質問です)
質問:is→areにすると変わるものは?
質問させて頂きたいのですが、
Where is your hat?
Where are your manners?で、be動詞の使い分けについてですが、形あるものyour book、penなどはisで、目に見えないようなもの、your dream、identity、polisyなどはareみたいな認識でよろしいでしょうか?
回答:ひとつとして指せるものは「is」 いっぱいあるものは「are」です。
・Where is your hat?(あなたの帽子はどこ?) ※帽子はひとつ
・Where are your manners?(あなたのマナー(たち)はどこ?)=お行儀悪いですよ
※1つ直せば良いというわけではなく、 直した方がよさそうな箇所がたくさんある。
★dream、identityも「is」「are」両方で使えます。
【dream】
・What is your dream? (あなたの夢はなに?たったひとつの夢は)
・What are your dreams?(あなたの夢はなに?きっといっぱいあるんでしょ?)
・Where is your dream? (あなたの夢はどこ? どこ行っちゃったの)
・Where are your dreams? (叶えたいことたくさんあるんだよね。今どの地点?)【identity】
・What is your identity? (あなたのアイデンティティは一体なに? 何があなたを作ってるの? 一番の構成要素は?)
・What are your identities? (あなたのアイデンティティは どんなものから作られてるものなの? 経験も知識も趣味も抱負だもんね。 いっぱいあるんだろうな…)
dreamやidentityのように、 目に見えない概念的なものであったとしても、それを「ひとつとして指せる」ものとして口にする場合は「is」、「複数」として思い浮かべている場合は「are」。
意外とシンプルなルールなんです。
aとは一体なんなのか
質問:
また、別質問ですが冠詞の”a”について。1)I don’t want to watch TV.
2)I don’t have a television.
3)Let’s stay home and watch TV.
4)What do you like to watch on television?テレビの前に「a」が付く付かないの区別が分かりません。
冠詞自体で一冊の本が書けるくらい深いものらしいですが、ここでの用法に関して何かしらの法則性みたいなものがありますか?また、上記のセンテンスで1)と4)では、watchの後にonが付く付かないがあります。これについても解説頂ければ助かります。
回答:★スッキリ捉えるための大前提
【冠詞なし】
曖昧で境界線が引けないもの【a】
固体として実際に存在しているもの or実際には目に見えなくても一般的に人の頭の中で 「あぁあれね」と、単語を聞いてその形や色などを ある程度思い浮かべることができるもの【the】
共通認識がとれているもの 聞き手と話し手(読み手と書き手)の間で、 思い浮かべるものがバッチリとひとつに決まっているたったひとつのもの。
整理してみるとこんな違いがあります。
【解説です】
冠詞なしのものとしてよく上げられる例としては、nature(自然)やmoney(お金)などがあります。
「自然」「お金」と聞いても、 人によって思い浮かべるものがそれぞれ異なり、 「絵に描いてみてください」と言っても おそらく全員異なる絵ができあがります。
対して冠詞【a】を つけることができるものというのは、a dog、an apple、a teacherなど その単語を聞いて、ある程度の 同じイメージを確立することができるもの。 「絵にしてください」と言ったら、 大体似たような絵ができあがります。
そしてこの絵が、完璧に一致する ようになるのが【the】です。
こんな理由で、始めて出す単語にはaを付ける。 一度話に出てきた単語にはtheをつける。
とも言われていますが、 始めて出す時でも、みんな知ってて当たり前、 「絶対にあの絵を描くに違いない」という時は theを使ったりもします。こういったことをちょっと頭の片隅において、 色んな英語に触れていくと、 見事にみんな使い分けがされていて面白いですよ。
I don’t want to watch TV. =テレビは見たくない。
とにかく「テレビ」は見たくない。 番組名、バラエティなのかニュースなのか、など 具体的なことは一切わかりませんが、 そういったこと関係なしにテレビが見たくない。 ⇒曖昧で境界線が引けないので 冠詞はつけません。
I don’t have a television. =テレビは持ってません。
何型のテレビなのかはわかりませんが、 四角の中に映像が映るあのテレビは持っていない。家にないよ。 ⇒実際に存在していて絵にも書けるのでaをつけます。
Let’s stay home and watch TV. =家にいてテレビを見ようよ。
何のテレビかはわかりませんがとにかくテレビが見たい。 テレビ見ない?と誘っているフレーズです。 曖昧なので、冠詞はつきません。
What do you like to watch on television? =テレビで何を見るのが好き?
これまでのフレーズでは「TV/television」が文の 重要構成要素(キーワード)でしたが、 このフレーズは少し違います。
何を見るのが【好き】?
とにかく好きなものを聞きたくて、 尋ねているフレーズです。テレビで見るなら(テレビで見る場合は)と、 質問の情報を付け足すように後から加えているので、 文の最後にon televisionと付けています。onは場所や所属を表す前置詞です。
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