年間死者数4千人。米国の片田舎を蝕む「覚せい剤中毒」の恐怖

 

覚せい剤メタンフェタミンの医学

体内に吸収されたメタンフェタミンは交感神経終末に到達し、そこからカテコールアミンの分泌を促進します。カテコールアミンにはアドレナリンやノルアドレナリンがあります。このようなカテコールアミンは脳細胞を刺激し「偽の多幸感」をもたらします。

これは偽の感覚であり、数時間後には全身の激しいだるさに襲われてしまいます。このため薬物依存症になりやすく、1度でも使うと覚醒剤依存症になるリスクがあります。食欲を抑える作用があるため、芸能人の中にはダイエット目的で用いる人がおり、日本人の中からもこれまで逮捕者が多数出ています。

1990年代のアメリカでは、市販の風邪薬に含まれているエフェドリンからメタンフェタミンが製造され密売されていました。2005年にアメリカ議会はエフェドリンの販売を制限する法律を成立させていました。しかしながらその後、製造拠点がメキシコに移ったのです。現在アメリカで消費されているメタンフェタミンのほとんどがメキシコの秘密工場で生産されています。生産されたメタンフェタミンは液状化されて、偽物のアイスティーなどの缶の中に入れられ、アメリカで密売されています。

また、メキシコ製のメタンフェタミンは純度が高く90%以上であり、ユーザが薬物の効果をより享受できるようになったのです。もちろんその分、中毒による死亡のリスクも増えました。メキシコで生産されたメタンフェタミンは格安で密売されています。2007年には1グラム当たり293アメリカドルであったメタンフェタミンは、2016年には1グラムあたり66ドルまで値段が下がっているのです。

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