覚せい剤中毒による死亡やバイオレンス
覚せい剤による年間の死亡数は4千人を超えているというデータが米国疾病予防センターから最近発表されました。10年前と比べると2倍以上に増えています。死亡に関係した覚せい剤の90%はメタンフェタミンでした。メタンフェタミンには、精神興奮作用が強くバイオレンスや妄想の原因にもなります。ヘロイン中毒者と比べて、覚醒剤中毒者は凶暴な犯罪を引き起こすリスクが2倍以上あるというデータもあります。
心臓に対する副作用が強く、不整脈から死亡するリスクがあります。しかしながらメタンフェタミンには呼吸抑制作用がないため、オピオイドのような呼吸停止による死亡のリスクは高くはありません。オピオイドには拮抗薬があるのである程度治療介入が可能ですが、覚せい剤には拮抗薬が無いため治療も困難となります。最近の研究によると、メタンフェタミンとヘロインの同時使用者が増えており、この併用は死亡のリスクを高めます。
アメリカのストリートでは、たとえそこが田舎道であったとしても、メス、グラス、アイス、またはスピードなどという薬が売られていたらメタンフェタミンと考えて、絶対に手を出さない方が安全です。1度でも使用すると依存症になるリスクがありますので気をつけましょう。
文献 Al-Tayyib A, et al. Heroin and Methamphetamine Injection: An Emerging Drug Use Pattern. Subst Use Misuse. 2017 Jul 3;52(8):1051-1058.
image by: Shutterstock