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結局、身内のことしか考えぬ「口だけ顧客ファースト」企業の特徴

「お客様を最優先しますと口にする企業は多いが、実践できている社はほんの僅か」と言うのは、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で戦略コンサルタントとして活躍する中久保浩平さん。今回の記事の中で中久保さんは両者の「決定的な違い」を記すとともに、真の意味での顧客ファースト実現に必要な考え方を提示しています。

顧客ファーストの矛盾

「当社ではお客様を最優先致します」と、顧客ファーストを唱えている店舗経営者からご相談を受けたときのこと。話を詳しく伺っていくと「お客さんのことを最優先で考えているようで実はそうでない」ということがありました。

「顧客満足度No.1を目指しています」とか「お客様のためにおもてなしを徹底しています」「当店はホスピタリティーを大切にしています」など、同じように顧客ファーストを掲げている会社やお店ではこのようなことは結構あります。

「いやいや、うちはちゃんと考えてますよ」と反論する方は多いのですが、実際は歯切れのいい言葉だけで現場では顧客最優先が出来ていない、ということがあるのです。

「お客様の声を大切に」「顧客視点が重要」といったようなことをいくら謳っていても、それが実際に現場でどのように反映されているのか? スタッフはその言葉を実際に受けて具体的にどのように行動に移しているのか? が見てとれるようでなければ、全く意味がありません。

たとえば、飲食店でこんなやり取りがありました。

「メニュー表、随分と汚れていて見づらいですけど、新しいものに変えないのですか?」

店主「いやぁ~、変えようと思ってるんですが、時間がなくて

「誰の時間が無いんですか?」

店主「えっ!? 私やスタッフの…(汗)」

また、とある新商品の販売現場にて。

担当者「この商品、トライアルで反響がいいんですよね。でも成約がイマイチなんですよ」

「だったら、反響のあったお客様になぜトライアルはするけど購入に至らないのか? という理由を直接お客様に聞いたことあります?」

担当者「いえっ。ないです」

「なぜ聞かないのですか? 直接お客様とやり取りするのが一番なのに…」

担当者「時間が無いんです」

「誰の時間が?」

担当者「えっ、私ですが…。」

はたまた、とある企業ではこんなこともありました。

「この会社案内のパンフレット、とってもしっかりしていて綺麗ですね。お金も掛かっているようだし…」

社長「やっぱり、それくらいしないとダメかな~と思いまして」

「なぜ、それくらいしとかないとダメなんですか?」

社長「だって、ライバル会社もみんなそうだし…第一、カッコつかないじゃないですかぁ~」

「カッコつかないって、誰が?」

社長「えっ!? うちの会社ですが…」

さらに、

「お客様層やニーズを考えると、携帯クレジットを置いてあげるとお客様にとっては、便利だと思うのですが、そういったものは置かないんですか?」

社長「はい、うちは現金商売でやってますし、雰囲気に合わないでしょう」

「そうですか。どんな雰囲気に合わないんですか?」

社長「えっ! いやっ、どんなって…お店の…です」

さらにさらに、とあるサービス業ではこんなことも。

「ポイントカード作ってますよね。なぜポイントカードを作ったんですか?」

社長「いやぁ、やっぱりリピートして欲しいですから」

「そうですか。ではなぜリピートして欲しいんですか?」

社長「そりゃぁ、そっちの方が売上が立つからですよ」

「ポイントカードの前に、お客様がリピートしたい。って感じて貰えるお店作りをする事は考えてないのですか?、そっちの方が先にすることだと思うんですけど」

社長「えぇ、そりゃそうですけど…」

とまぁ、このように何かを聞いて、ちょこっと突っ込んでみると、自分たちの都合であったり、体裁を気にしていたり数字を先に…といようなことばかりなのです。お客様最優先、顧客第一主義の顧客ファーストを唱えながらも、どれも「お客様」「取引先」「お得意様」などという言葉が最初に出てきません。悲しいですよね。

しかしながら、どんな事を聞いても、まず最初に「お客様が」「お客さんにとって」と言える人や会社は、ほんとうにいつもお客さんのことを考え、動いている人達、会社です。

「お客様、きっと喜んでくれるだろうなぁ~」
「お客さんにとっては、使いやすいかなぁ?」
「お客様に不快感を与えないだろうか?」
「お客さんが楽しいと言ってくれるだろうか」

などというように、主語はお客様」「お客さん」です。

そういった会社やお店というのは信頼があり評判もいいので、結果的に長く愛され売上も当然ながら安定しています。そして、そういう会社やお店というのは、どんな場面でも、経営者含めそこで働く人達も楽しんでいるような活気があります。

また、ミーティングや会議の課題であっても「お客様」「お客さん」という発想から意見を出し合います。そして、判断や決断に迷えば、「お客様にとってどうか」ということから考えています。ですから、上手く行くことの方が多いです。

社訓や朝礼で「お客様最優先で」と唱えることは簡単です。でも実際にそれを現場に反映できているところは多くありません。顧客ファーストというのなら、「お客様にとってどうか?」ってことを常に最優先にした思考、発想、判断基準にしていく取り組みをしてみましょう。

きっと、お客様に喜んで貰えるだけでなく、そこで働く人達の笑顔が増えていくはずです。

■今日のまとめ

『お客様にとってどうか?で判断し行動する。』

image by: Shutterstock.com

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【著者】 中久保 浩平 【発行周期】 毎週:火・木午前8:00発行※祝日の場合は翌日

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