トランプの「ウラとオモテ」政治が、なぜじわじわ効いているのか?

 

現時点では、議会共和党も議会民主党も、このトランプ流の「ゴチャ混ぜ」と「ウラとオモテの使い分け」という政治手法に翻弄されるばかりで、政局のイニシアティブは完全にホワイトハウスに取られてしまっているわけです。

そうした「ウラとオモテ」とか「ゴチャ混ぜ政治」というのが、どうして機能し始めているのでしょう? 一体誰がそんな「知恵」を付けているのでしょう?

その「知恵をつけているブレーン」については、良く分かりません。軍出身のジョン・ケリー首席補佐官が異常な才能を持っているという説もあれば、議会OBのニュウト・ギングリッチ氏がコーチしているとか、いやルディ・ジュリアーニ氏も加わっているとか、諸説があります。

ケリー主席補佐官を中心としたホワイトハウスのスタッフが合議制でやっていて、それが「バノンがいなくなった」ことで、常に最善手が打てるようになったという説もあります。この「ケリー有能説」ですが、確かにここへ来て「ホワイトハウス筋からのリーキング」が減っていることから見て、機能しているという感触もあるわけです。

では、このトランプ流で政治が前に進んでいくというのは良いことなのかというと、それは違います。「国内外の感情論」と「複雑極まる現実」を「お手玉のように曲芸的に操る」というのは、いくら変人トランプでも限界があるはずです。どこかで破綻が起きる可能性は常に残っており、その際には市場が一気に暗転するでしょう。ただ、その臨界点までは当面この流れで進みそうです。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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