トランプの「ウラとオモテ」政治が、なぜじわじわ効いているのか?

 

というわけで、これは「ホンネとタテマエの使い分け」というような単純なものではないわけです。簡単に言えばこういうことです。

一つは、実務的な最適解と、コア支持層の持っている感情論とに「大きなズレ」があった場合に、その2つを「ズレたまま抱える」という無茶をやっているという問題です。良く言えば、最適解を選んで行動する姿勢はあるのですが、一方でコア支持層への「説得」は全くやらずに、ここではホンネとタテマエ的に二層構造を放置するのです。

もう一つは、情勢が変わると平気で自分のポジションを変えていくという傾向があるということです。名人芸といえばそれまでなのですが、そこには、この政権の抱える非常に特殊な構造があります。このトランプ政権ですが、よく見ていくと7つの要素がゴチャ混ぜになった政権ということができます。

  • 極右と言って良いような排外・孤立・攻撃的なカルチャー
  • 福祉カットを平気でやる極端な小さな政府論
  • 高齢者など支持層に対しては福祉もインフラも大盤振る舞い
  • ビジネスにはフレンドリー
  • 国内雇用にこだわり多国籍企業は攻撃
  • ポピュリストとして声の大きな劇場型政治
  • そのくせ、議会とも外国とも密室での談合が大好き

また政治イデオロギーとしては、「極端な小さな政府論」「極端な大きな政府論」「軍備増強」「不介入主義」「規制緩和」「徹底した保護主義」ということで、全く相容れない水と油をゴチャ混ぜにしていると言っていいでしょう。

その全体が醸し出す、良く言えばフュージョン料理のような目新しさ、悪く言えば「味噌もクソも一緒くた」というのがトランプ政治であり、恐ろしいことにそれが回りだしたということなのです。

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