安倍首相も小池氏も。政治家が選挙戦で「国益」を語らない理由

 

国益追求は、露骨であってはならない

ここからはご質問以外の話。どんな国でも「国益」を追求しています。すべての会社が「利益」を追求しているのと同じこと。しかし、国益の追求は「スマートに」やる必要がある。トランプさんみたいに、「アメリカ・ファースト」とかいって、「露骨にやると嫌われます

会社でも、「わが社の理念は、『わが社ファースト』、わが社の利益が一番です」とは言わないでしょう? 「お客様の笑顔が見たいだけです」などといって、儲けます。そして、実際「お客様の笑顔が見たい」と思って働いた方が儲かるようになっているのです。

だから、世界に向けて「日本の国益は〇〇である!」と宣言する必要はありません。繰り返しますが、国益はスマートに追求します。

「自立」にむかう政策も、「国益」

ロシアの話をします。日欧米は、ここ3年間「対ロ制裁」を続けています。原油価格暴落もあり、ロシア経済はボロボロになりました。しかし、この国は、驚くべき安定を保っています。なぜでしょうか?

私は、常々「5つの自立」をいう話をしています。

  • 精神の自立
  • 経済の自立
  • エネルギーの自立
  • 食糧の自立
  • 軍事の自立

ロシアは、自虐史観に染まっておらず、「精神の自立」を成し遂げている。経済の自立は、イマイチですね。資源依存が高過ぎる。この国は、世界有数の資源大国で、エネルギーの自立はOK。食糧の自立も問題ありません。また、ロシアは、アメリカよりも核を多く保有している。だから軍事的に自立している。要するに、ロシアは自立した国」なのです。だから、安定している。

日本はどうでしょうか?

  • 精神の自立→自虐史観で自立していない。
  • 経済の自立→内需主導経済で、安定している。OK。
  • エネルギーの自立→まるで自立していない。
  • 食糧の自立→まるで自立していない。
  • 軍事の自立→アメリカ頼り

こう見ると、

  1. 自虐史観脱却。道徳教育。
  2. エネルギー自給率をあげる。
  3. 食糧自給率をあげる。
  4. 軍事力を強化していく。

これらも、「国益」ですね。

さらに、少子化問題を解決するために、「子作り支援」「子育て支援」も国益。AI、ロボットの普及(たとえば3K労働ロボット、介護ロボットなど)も国益です。

というわけで、国益=国の利益。最大の物は、安全と経済。しかし、細かい話をしたらキリがありません。安倍総理も小池さんも、日本の国益を、スマートに追求していただきたいと思います。そして、

  1. 国益を軸に考える
  2. 「どうすれば、国益を(他国に嫌われず)スマートに追求できるかな?」と考える癖づけをする

この二つは、「リーダーの条件」でしょう。

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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