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いじめ自殺を年間3件と報告、実態とかけ離れすぎた内閣府データ

少子化にもかかわらず減るどころかむしろ増加している子供の自殺者数。内閣府は毎年9月10日~16日までを「自殺予防週間」としてさまざまな対策を行っているのですが、その自殺対策推進室が出した資料によれば、昨年いじめが原因で起きた小中高生の自殺数はたったの3件とのこと。この数字に無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』の発行者の1人、松井妙子さんは異を唱えます。

9月10日は世界自殺予防デー

9月10日は世界自殺予防デーです。ご存知の方も多いと思いますが、日本では、1998年以降14年連続で、自殺者が3万人を超える状態でした。自殺防止運動などが功を奏してか、2012年にはようやく15年ぶりに3万人を下回り、昨年(2014年)は2万5,427人にまで減少しました。

しかし、小中高校生の自殺者数は、少子化にもかかわらず、減少のきざしはまったくありません。内閣府の統計によれば、2010年287人だったのが、昨年(2014年)には329人になるなど、むしろ増加の傾向さえ見られます。15歳~19歳の死因のトップ自殺です。国際的にも深刻な状況だと内閣府は分析しています。

子供の自殺というと、いじめ自殺が大きな問題です。今年、内閣府の「自殺対策白書」は次のことを明らかにしました。1972~2013年の42年間に自殺で亡くなった18歳以下の人数は、9月1日に自殺した子が131人で最も多く、4月11日に99人、4月8日に95人、9月2日に94人、8月31日に92人というように、子供の自殺は夏休み明け春休み明け前後に集中しているというのです。

内閣府自殺対策推進室「平成26年中における自殺の状況」資料によると、小中高生の自殺原因の1位は「学校問題」です。ただ、この自殺の原因である「学校問題」の具体的内容としては、「入試の悩み」、「進路に関する悩み」、「学業不振」、「いじめ以外での学友との不和」などが大勢を占めています。「いじめ」も「学校問題」の中に分類されていますが、いじめ原因の自殺は小中高合わせて1年に3件だけです。

平成26年には、1月に山形県で女子中学生、長崎県で男子中学生が、2月には広島県で男子高校生が、7月には青森県で女子高校生が、8月には愛知県で女子中学生が、いじめを苦に自殺したと報道され、そのほか未遂事件も多数報道されています。このように、いじめ自殺が1年に3件だけというのは、実態とはかけ離れていると考えるべきです。

また、資料には、自殺原因として「学校問題」の他に「孤独感」、「うつ病」、「統合失調症」等が挙げられています。私たちは、いじめ相談を受ける中で、うつ統合失調症発症してしまった子を数多く見てきました。ここまで追い込まれてしまった子供たちの中には「いじめ」が関係している子もかなり多いはずなのです。

子供たちの「自殺」と「いじめ」は深い関係にあります。「いじめ」防止「いじめ」解決に取り組むことで、子供の自殺は必ず減ると信じております。私たちは今後もいじめの防止、いじめの解決に向けて、活動を続けてまいります。お子さんがいじめられたら、すぐにご遠慮なくご相談いただければと存じます。今後とも皆様のご協力をたまわれば幸いです。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井妙子

image by:Shutterstock

 

いじめから子供を守ろう!ネットワーク
「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。
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