マンションにツバメの巣ができた! 理事長が下した判断とは?

 

全員一致で巣を守る選択をした巣のある階のみなさんもステキですが、私は、その前に、総会で、自分の階の問題じゃないのに、「卵を産む前に巣を撤去した方がいいと意見を言われた方がいたことも、とてもステキだと思いました。

どうしてか…ですよね。

自分に害がなくても、被害があるかもしれない当事者のことを思い、言いにくいであろうことを言ってあげたのです。「ツバメの巣」の階の方も、手離しで巣を喜べない自分たちの気持ちをちゃんとわかってもらっていると感じたでしょう。巣を撤去するという判断をしてもいいのだという承認をもらったことが、その階の方々の心をすごく軽くしたと思います。

ちゃんと分かってもらっている、自分たちでどちらの判断をしても受け入れられる、その安心があるから、巣を残すという自らの判断ができたのだと思います。ですから、最後、当事者の方々に委ねようと言った理事長の判断もステキだと思います。

さて、理事長は、判断を委ねた結果、全員が巣を残す判断するだろうということまで、予想されていたのでしょうか…今度、お会いしたら聞いてみたいです。

自分たちの事情や気持ちが理解されていると感じることが、人の心を柔らかくします。心が柔らかくなると人は寛容になれます。マンションでの共同生活には、その時々に、損得感情が生まれやすいのです。「損」と感じるであろう人たちの事情や気持ちをまず、みんなが理解することが合意形成の出発点です。それがあって初めて、自分は「損」をするように思っても、まあ、全体のためになるのなら反対するのはやめるか…という柔らかい気持ちを産むのです。それが、管理組合の合意形成のコツじゃないかな~と思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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