『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』(2014/12/19号)
以下、資源コモディティー価格全般もひっくるめて、原油価格と表記します。
1970年代、二度のオイルショックで原油価格が10倍へと急騰。これを境に、先進国の経済は、「戦後の高度成長・高インフレ時代」を終えて、「低成長時代・低インフレ時代」へとシフトしました。
オイルショック直後は先進国では物価が急上昇しましたが、それは一時的でした。より長い目で見ると、原油高は先進国経済を低成長・デフレ気味(=低インフレ)へと落とし込んでゆきました。
かように、原油高は、目先は先進国の物価を一時的に上昇させましたが、もっと長い目で見ると、原油高は、「コスト高による企業業績の悪化」→「賃金の上昇率低下」→「デフレ(=不況)気味の経済」といった「悪循環」を、先進国経済に徐々に定着させていたのです。
この反対に、昨今の原油安は、目先は先進各国の物価を一時的に低下させますが、もっと長い目で見ると、原油安は、「コスト低下による企業業績の改善」→「賃金の上昇率向上」→「インフレ(=好景気)気味の経済」といった「好循環」を、2015年以降の先進国経済と資源輸入国に定着させてゆきそうです。
ハードランディングが懸念されている中国も、資源輸入国ですから、直近の原油安は、中国経済にとってもまさしく神風・恵みの雨です
2014年を通じて、なんとはなしに「アメリカ以外の国では、ぱっとしなかった世界経済」。
2014年は、アメリカ一国が世界経済をけん引するにしても、ドル高(=出口を探る政策)にすれば、欧州や日本が絶望的なデフレスパイラルへ陥ることをなんとか防げても、新興国では通貨危機リスクが急浮上してしまいます。この新興国リスクが世界経済全体の回復の足を引っ張っていまっていました。
かといって、アメリカが、新興国群へ配慮してドル高政策(出口を探る政策)の手綱を緩めると、今度は、欧州や日本が景気失速してしまいました。日欧の経済が失速すると、これまた世界経済全体の回復の足を引っ張ってしまいました。
まさしく、世界経済は、あちら立てればこちら立たずの「二律背反」「深刻なジレンマ」に陥っていたのです。
ラガルドIMFも、イエレン女史も、メルケル女史も、2013年から2014年にかけて、この「ドル高にしてもドル安にしても、二律背反で、世界経済がぱっとしない」状態に、頭を悩ませていました。
そういった「二律背反の苦悩」の中で、ラガルド&イエレン&メルケル女史たちが編み出した「ミラクルプレー」は、なんとなんと、「原油価格を大幅に下落させること!」だったのだと思います♪
彼女らは、たぶん、OPECのサウジアラビアに、「なんとかして、先進国経済がデフレに陥ることを防いで株式資本主義を守り抜くために、原油価格を半分くらいに引き下げる」ことを、三顧の礼を尽くして拝み倒して、お願いしたのではないでしょうか?さいわい、サウジの王族は、先進国株式もドル国債も大量に保有しています。
先進国経済を再びインフレ(力強い景気回復)へと導いて、株式資本主義を守り抜くためには、2014年では、金融政策だけではもはや手詰まり感いっぱいで、もっともっと「経済の骨組みそのものを変えるような、荒治療」が必要だったのです!その「荒治療」こそが、「サウジアラビアの協力の元での、原油価格の大幅下落!!!」だったのです。
おりしも、ロシア、イラン、ベネズエラ、イスラム国などの産油国は反米・反自由主義陣営です。
「原油価格の大幅下落」で、2015年の先進国経済と資源輸入国は、大きく息を吹き返すことでしょう。
あと半年もすれば、「企業業績の改善」→「賃金上昇」→「物価上昇」の好循環が生まれてくることでしょう。
かくして、「2014年の原油価格の大幅下落」のおかげで、アメリカ・イエレンFRBは、2015年半ば以降に「極めて穏やかな政策金利の引き上げ」を晴れて実行できる「道筋」を、初めてゲットできたのでした!♪
あぁ、原油安で、出口がやっと見えてきたぞぉおおお!
かくして、世界経済は大変息の長い繁栄へと導かれてゆくことでしょう。
『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』(2014/12/19号)
著者:藤井まり子
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