食べ物に限らず、「作り手の顔が見える」ことはビジネスにとっても重要なようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、今、注目を集めている企業やお店が「共通して取り組んでいること」を紹介しています。
作り手が発信する時代
いろんな企業やお店のHPやSNSを見ていると、近年、大きく変わったなぁと感じるものを見かけることがあります。作り手が発信をしているかどうかです。
今、お客様がこぞって集まっているのは、やはり作り手自らが想いを発信している企業やお店だと痛烈に感じています。というのも、以前、特に日本では、作り手(製造・生産者)が情報を発信している機会がとても少なかったように思います。正直、今もあまり多いとは思えませんが、作り手はモノを作るだけで、売ったり発信したりするのは、販売現場に任せきりになっていたからです。
これは販売現場側も同じ感覚で、その商品のどこが良いとか、どこにこだわりを持って作れられているのかは、現場の販売員だけが伝えていました。一応、カタログだなんだといったツールはありますが、それらにも、作り手が実際に語っているものはなく、販売する側の考察が述べられていることがほとんどです。ですが、販売員は勉強をしているとは言っても、作り手の苦労や想いまではわかりません。お客様が本当に知りたいのはそこなのに、伝えられていなかったんです。
しかし、ネットの普及で、簡単にお金をかけず情報発信ができるようになり、作り手が自ら語る機会が増えました。
「ここに苦労したんですよ」
「こうやって作る技術はなかなか難しいんですよ」
といった情報です。そういったこだわりや苦労といった情報とともに、「ぜひこんな時に使ってもらいたい」といった想いも、作り手が伝えられるようになってきたわけです。以前は予算や場所の関係で、なかなか知ってもらう機会が少なかったのが、ネットのおかげで、誰でも知れるようになったんですね。
お客様は、作り手の想いをダイレクトに知ることで、この作り手なら安心できるとか、この人なら応援してあげたいとか、この生産者のことをもっと知ってもらいたいとか、いろんな感情が生まれて、商品を手にしてくれます。販売員もそういった情報を伝えなければいけませんが、本当の意味でそれができるのは、やっぱり作り手自身なんですね。
以前、スイスの某有名時計メーカーの創業者の娘さんが、百貨店の時計売り場でトークショーを行なったことがありました。その時計がどうやって作られているか、創業時はどんな状態だったか、どんな想いから新作が生まれたのかなど、1時間ほど喋るだけのイベントです。これがものすごい盛況で、会場は満員、立ち見が出るほどでした。その後、やっぱりその時計は売れたんです。
こういった現実から、販売の現場でも、作り手に発信してもらう意識を持ってもらいたいと思います。HPやSNSで、ただ商品案内をしているだけでは、お客様は見てくれません。知りたいのは、その先、どんな想いや過程で、その商品が作られてきたかという部分です。それらを作り手が発信できるようにプロデュースするのも、これからの販売業の役割だと思います。実際に、地方の1ショップでも、イベントを組んだり、インタビュー記事を発信したりしているお店はたくさんあります。
具体的にどんな方法が考えられるでしょうか? ぜひ考えてみてください。
今日のおさらいです。
- 作り手の想いや、商品が生まれる過程を知ってもらう方法にはどんなものがあるか考えてみる。
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