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NYで若いホームレスが急増。行き詰まった米国経済に大転換の足音

世界の基軸通貨「米ドル」が大きな曲がり角を迎えているようです。以前お伝えした米ポートランドだけでなく、あのNYでも若者のホームレスが激増しているという米国経済のショッキングな現状を明かしたのは、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者でクリエイターの高城剛さん。同メルマガでは、米国の基軸通貨の歴史を振り返りながら日本円と米ドルとの関係性を分析。そこから見えてきたのは、数年以内の「金融政策の歴史的大転換」という大胆な予測でした。

2018年にアメリカは大きな金融政策の転換を実行する

現在、基軸通貨を持つ米国の経済状況は、大きな曲がり角を迎えています。

以前、このメールマガジンでもポートランドの人口およそ1%がホームレスになり、いままで見たことがないティーンエイジャーホームレスを、僕は「サードウェーブ・ホームレス」と呼ぶほど、町の様相が激変して衝撃的だったとお伝えしました。

● 全米憧れの街・ポートランドに非常事態。ホームレス急増で街が激変

AFP通信によれば、現在、ニューヨーク市でホームレスの児童の数が増加し、小学生の7人に1人以上の割合に達する可能性があると報じられています。

富とジェントリフィケーション(再開発による地区の高級化)の偏在が加速し、「ゆっくりした時間のなかで、幸せに生きる」ような「普通の物語」を生きることは、もはや不可能なのが米国の現在であり、今後、日本でも同じような光景になることが予測されます。

そこで、米国の基軸通貨の歴史を振り返りながら、日本円との関係性を考えたいと思います。

国際為替市場で中心に扱われる通貨のことを基軸通貨(キーカレンシー)と言います。

基軸通貨としての機能を果たすには、

などが挙げられます。

しかし、歴史の移り変わりとともに、基軸通貨も移り変わります。

第一次世界大戦まで英国のポンドが基軸通貨でしたが、欧州各国は経済が疲弊し、逆にアメリカは戦争特需で経済が急成長したため、基軸通貨が英ポンドから米ドルへ移りかわりました。

その後、第二次世界大戦を経て、アメリカがIMF体制の下で各国中央銀行に対して米ドルの金兌換を約束したことで、米国は基軸通貨の地位を揺るぎないものとします。

その後、「金兌換を約束」は、反故にされることになります。

ここで、ドルと円の歴史を振り返りましょう。

いまから70年近く前の1949年に、1ドル=360円が米国政府の決定で定まります。

その後、1971年に「ニクソン・ショック」として 360 円の固定相場制が一方的に転換し、「金兌換を約束した事実は葬られました

そして、1979年にボルカーFRB(米連邦準備制度理事会)議長のインフレ対応の高金利政策でドル高に転換

1985年には、「プラザ合意」でレーガン米大統領がドル安政策に舵を切り、日本はバブル経済がはじまります。

それから十年後の1995年、ゴールドマンサックス出身のルービン米財務長官が「ドル高は米国の国益」と発言し、米国内の製造業保護が打ち切られ、金融立国へ向かい、ドル高転換します。

この時の産業構造の転換が、今日まで続くあらゆる二極化を生み(95年がニューエコノミーと二極化のスタート)、2007年に米国サブプライム問題が顕現化して、火急的にドル安へと再び転換

その後、リーマンショックの本質的問題を浮上させないため、QE(量的緩和)がもたらした資産価格上昇とバブル崩壊に対する懸念から、再びドル高へと向かいました。

このように、ドル円相場は、常に米国の政策次第となり、また、交互にドル安政策、ドル高政策を繰り返しながら、バランスを取るというより、米国は問題を先送りにし続けています(日本は従属しています)。

言い換えれば、社会問題により米国の国体が揺らぎそうになった際、金融政策を大きく転換させてきたと言えます。

この社会問題とは、戦争のこともあれば、現在の二極化のようなことまで様々で、体制が揺らぎそうになると都度に政策を転換して延命を図っているとも言えます。

ですので、マクロ経済や様々な指標を見るのではなく、実態社会をみなければ、次の行方はわかりません。

現在、米国は過去70年間でもっとも疲弊しています。

ジニ係数を見てもわかりますが、貧富の差が広がるどころか、富の偏在がロングテール化しており(まさにインターネットによる弊害)、QEによるインフレにより、生きていくのが困難になっている人たちが続出しています。

つまり、大きな金融政策の転換が近づいていることを、知らせています。

その転換とは、単なる現在のドル高からドル安政策へのシフトとは限りません。これから遅くとも数年以内に歴史的大転換が起きるかもしれません。なぜなら、それほど米国社会は、行き詰まっているからです。

2018年、米国は大きな金融政策の転換を実行するでしょう。

image by: Shutterstock

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高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けするメルマガ「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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【著者】 高城剛 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 金曜日(年末年始を除く)予定

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