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米極悪刑務所に10年以上収監された日本人が明かす、楽しかったことBEST10

漫画「チカーノKEI」(秋田書店)や書籍「アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人」(東京キララ社)で知られる元暴力団員のHOMIE KEIさん。アメリカの刑務所、中でも特に厳しいとされるレベル4から5の刑務所に収監され、10年以上獄中生活を送り、中でチカーノギャングのコミュニティに入った同氏が、そこでの生活をメルマガ『チカーノKEIが書く遠慮御無用のメルマガ「Days of the HOMIE」』で赤裸々告白。今回は、読者から寄せられた「刑務所内での娯楽・気晴らしは?」との質問に、ランキング形式で回答しています。

「アメリカ極悪刑務所」で楽しかったことベスト10

Question

 

刑務所内の娯楽・気晴らしでは何が好きでしたか。

あえてTOP10ランキングを作るとしたらどうなりますか。

 

 

KEIさんの回答

ご質問ありがとうございます。ランキングですか。迷いますが作ってみますね。

1位 野球

詳しくは自分の書籍をご覧いただきたいですが、ザッと答えますと野球は年間で100試合以上やってました。Aリーグ、Bリーグと2リーグあったぐらい盛んでした。ちなみにセ・パのような分かれ方ではなく、レベルに合わせての分かれ方です。

自分は2チームを掛け持ちで仕切ってやっていました。メキシカンは野球が下手だったので、めちゃくちゃ野球の上手なキューバ人たちをチームに入れて強くしていきました。最初こそBリーグでしたが、次第にAリーグに入り、しまいには点差のハンデをあげないと成立しなくなってました。

この成立というのは賭けのことです。賭けが盛んで、お巡りたちも賭けていたので、勝利は自分への信頼にもつながりますから負けられないわけです。でもって刑務所内での試合はラフプレーなんて当たり前で、タッチ一つにしても強烈なパンチに等しいですし、ホームベースへのスライディングは顔面めがけてスパイクを立ててきます。だから乱闘もしょっちゅうでした。負けそうになったら最終回に乱闘を起こし、大事にしてノー・コンテンスト

空軍の野球チームと対戦した時のスコアは20-0の圧勝でした。向こうは高いバットを使っていましたが、自分たちはオンボロのバットですよ。ちょっとした自分の自慢です。

囚人は基本的に規則正しい生活をして毎日鍛えまくっているので負ける気しなかったですね。

2位 サッカー

全てのスポーツにリーグがあったのでこちらも定期的に試合をやってました。

連載でも触れていますが、自分はもともとサッカー少年だったのでこの球技が得意でしたが、コロンビア人とかメキシコ人は、自国のサッカーレベルが桁違いなので巧すぎて野球のようにいきませんでした。

野球と同じくハンデをどうするか、お巡りとどうこう等は自分主体ではなく、チームの奴らと仲がいいから呼ばれて試合に出るって感じでした。

ついでに他のスポーツにも軽く触れておきますが、バスケはやっぱり黒人が尋常じゃなく巧い。周りの上手な奴らを集めて挑んでみましたが、歯が立ちませんでした。175cmの自分よりも、165cmの黒人が余裕をもってダンクシュートを決めるんだから、持って生まれたモノが違うとしか言いようがないですね。

続いてアメフト

足の速さをかわれてランニングバックをやっていたが、バカでかい体格の奴に思いっきりタックルを喰らって10メートルぐらいブッ飛ばされ、整体みたいに骨がボキボキッ!と鳴り、全身骨折したかと思いました。脚の骨は本当に折れてしまってしばらく松葉杖生活するハメになりました。

バスケの試合でも乱闘になって(けしかけたのは自分なんですが)、角材で殴られてアゴがパックリ割れたり、スポーツではラフプレーや喧嘩・乱闘による怪我はしょっちゅうでした。

3位 ハンドボール

おそらくこれは皆さんが抱いているハンドボールとは違う競技かも知れません。

バンダナなどを手に巻いて壁にボールを打つスポーツです。刑務所もテキトーなので、ボールが硬い時と柔らかい時があって、硬い時は指を骨折することも珍しくありませんでした。痛がるとお前オカマかよ?とバカにされるので我慢するしかないんです。自分から骨折しにいくようなもんなので、根性のスポーツでした。

HOMIEたちが好んでやってましたね。極端に言うと彼らしかやってないぐらいです。刑務所の外では大会があって、出所した後でもこの競技をやり続けるHOMIEが多いですね。

先ほど触れた映画アメリカン・ミーでも出てくるシーンなので良かったら見てみてください。

4位 ジム

自分が原作を担当している漫画「チカーノKEI」でも最近掲載されたシーンにもありますが、ジムでのトレーニングはチカーノ・ギャングの日課でありサボることは許されません。喧嘩は日常茶飯事ですし抗争もいつ起こるか分からない身にとって、身体は本当の意味で資本です。

最初は全身余すところなく筋肉痛でしたが、筋トレって中毒性があるんでしょうかね。

10年ぐらいやり続け、パンパンに身体が膨れ上がったので、出所して以前のスーツに袖を通したんですが何一つ着れるものがありませんでした(笑)。息子がちょうど高校の卒業式だったので着なきゃいけなかったもんで、慌てて友人に借りました。

5位 仲間達で作る晩飯

普段は硬派なチカーノたちですが、仲間内では楽しく過ごします。毎日違うものを作って自炊を楽しみました。

炒飯が多かったかなぁと記憶してます。コメは電子レンジで炊いて、別のレンジでソーセージを油で炒め、カップヌードルのスープの素(粉末状)とルイジアナホットソースっていうタバスコの酸味をもう少しキツくしたような調味料を混ぜて作ります。

このルイジアナホットソースは主に刑務所内だけで有名なので、このワードを絡めた冗談で爆笑する奴は刑務所に入っていた証拠にもなります。悪ぶっていても同じように笑えない奴は、刑務所に行ったことのないハッタリ野郎みたいな扱いをされたり。というのも、ルイジアナホットソースはタバスコより安いから、中にはそれしかないんです。外だとルイジアナホットソースはあんまり有名じゃなくて、基本的にはタバスコを使うから知りえない、といった具合でした。

あとはワカモレ作ったりブリトー作ったり。タコスは材料が生野菜を揃えるハードルが高いので作らなかったですね。

自分の話によく出てくるジェイルライスはまた別です。こちらはパーティー仕様なのでまたの機会にお話しします。

6位 土日のロードショー

これも何度か喋っている話ですが、アメリカの刑務所ではスーパーもあるし映画館もあります。外と同じロードショーを中でもやっているわけです。

もちろん英語の勉強にもなりましたね! わからない単語は片っ端からメモを取り、部屋に戻って辞典を引く日々でした。

英会話について詳しくはまた改めてお話しできればと思います。

映画館は2館あり、一つの広さは椅子を5~60席置ける広さでした。上映前、早い時間に若いHOMIE達が陣取って、真ん中の人数分の席を確保します。先日掲載された漫画チカーノKEIにてジムの確保の描写がありましたが、あれと同じですね。

7位 祭日のパーティー

ドミノ、ピナコを賭けて遊びます。

自分は飲んでませんが(下戸です)、酒は刑務所内で、オレンジもしくはグレープフルーツと砂糖で発酵させたワインのような物を作ってみんな呑んでます

ジェイルライスは誰かが出所する日に作ります。こちらについての質問も多いので近日回答しますね。

8位 スーパーボール

アメリカNO.1のスポーツですから、応援の熱もそりゃあ大変なものです。日本ではあまり馴染みがないかも知れませんが、最近は段々浸透してきたんじゃないでしょうか。少なくともハーフタイムショーぐらいは注目されてるのでは。

ただスーパーボウルは残り2チームなので、好き嫌いによる応援というよりも賭けで盛り上がります。この文章からも分かる通り、賭け事が非常に多いわけです。

クレイジージャーニーに出演したときに語ったオスカー・デ・ラ・ホーヤ vs フリオ・セサール・チャベスのボクシング試合なんて、暴動にまで発展するぐらいでした。デ・ラ・ホーヤはメキシコ系アメリカ人ですからチカーノが賭けて、チャベスはメキシコ人ですからメキシカンが賭けます。何千万というお金が動き負けた方が払いたくないからと暴れて暴動に発展したということです。

スーパーボウルはなんといってもアメリカンスポーツ最大のイベントですから、注目度も桁違いで、所内の仕事も休みになります。モニターにかじりつきで、試合が動けばポップコーン投げまくりで床がポップコーンだらけですよ。

賭けるといってもハンデとかがありますから、単純に試合の勝敗を読めば良いということでありません。ブックメーカーのオッズが出てますからそれを元に賭けます。相撲のように勝敗のみが残るシンプルなものなら別ですが、点数制の競技は賭けるのもアタマを使いますね。アメフトは一回のタッチダウンで6点とか入るわけだから、一回の攻防であれだけ騒ぐわけです。

9位 喧嘩 & 10位 抗争

ついでに11位も言うなれば暴動です。メチャクチャ楽しかった、と言い切ると誤解を生みそうですが、自分の中で悲壮な思いはあまりありません。こちらはそれぞれ別の質問が溜まっていますのでそのうちしっかり答えたいと思います!

長くなりましたがランキングは以上です!

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【著者】 HOMIE KEI 【月額】 ¥550/月(税込) 【発行周期】

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