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弁護士直伝。TODOリストやスケジューリングより先にやるべきこと

厚生労働省が実現しようとしている「働き方改革」法案が話題になるにともない、時間管理の意識が高まっているようです。しかし、無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』の著者で現役弁護士の谷原先生は、TODOリストやスケジューリングなどを利用する前にやるべき、もっと大切なことがあると話しています。それは一体、何なのでしょうか?

時間管理の前に

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

働き方改革」の推進による労働時間の短縮残業の削減などに注目が集まっています。そして、それに伴いビジネスパーソンの間でかつてないほどに「時間管理」への意識が高まっているようです。

時間管理は、すべき仕事の優先順位を考えながら時間を配分し効率的に処理するという考え方。TODOリストやスケジューリングなどのITツールも発展しており、日常的に利用している方も多いでしょう。

しかし、時間管理によりスケジュール通りに仕事をしても、効率が上がっているとは限らないことに注意する必要があります。時間管理のテクニックでは、時間はいつも均質であるという前提があります。しかし、同じ時間、同じ仕事をしたとして、いつも成果は同じではありません。

時間管理のテクニックよりずっと自分の時間を有効に使う方法があります。たとえば、仕事中に、家族関係など、私生活での悩みが頭から離れなかったり、不安や迷いで思考が乱れ、仕事のクオリティがかなり低下することがあると思います。仕事をしていても、心配事ばかりが頭に浮かんできて、仕事が手につきません。また、メールが気になったり、周囲の話し声に気が散ってしまう、といったこともあります。

気持ちが乱れているときの仕事の効率の悪さは誰もが知っていると思います。調子が良ければ1時間で済むことが、1日がかりになるような経験のある人は、非常に多いでしょう。

逆に、集中したときの仕事のはかどり方も驚くべきものです。何かの拍子に急にスイッチが入り、何日もダラダラと延びていた仕事を1時間程度で終わらせてしまった、といった経験も多くの人が持っているはずです。

心が乱れていると、時間管理をしても、単に無駄な時間をきれいに配分しているだけになります。同じ時間内の効率の低下は、スケジューリング等では全く解決できません。では、時間効率を高めるためには何が必要なのでしょうか

まずは「自分でコントロールできること」と「自分ではコントロールできないこと」を峻別することです。他人がどう考え、どう行動するかなどは、「自分ではコントロールできないこと」です。そのようなことをいつまでも考えていても時間の無駄です。

考えるべきことは、他人がこう行動したら、「自分はどうするか」です。自分のことしかコントロールできません。そして、色々なことに関して、「これに対して、自分はどう考え、行動するか」に集中していると、コントロールできる領域が広がっていきます。

この「自分がコントロールできることに集中する」ということこそが、雑念に惑わされず、集中力を高める方法だと思います。その思考を前提にして、初めて時間管理のツールが役立つことになるでしょう。

集中力を高めずに時間管理のツールを使って仕事に向かおうとするのは、車の不調を整備せずに運転技術だけで車のレースに出ようとするようなものです。外科医が刃がボロボロのメスで手術に臨むようなものです。

テクニックだけでは結果を得ることはできません。時間管理とは、自分の思考管理から出発するのだと思います。

今回は、ここまでです。

image by: Shutterstock.com

 

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【著者】 谷原誠 【発行周期】 不定期

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