最近では共働きの核家族が増え、子どもの睡眠不足が問題視されています。しかし、共働きやシングルなどで頼れる人がおらず、どうしても子どもを寝かせる時間が遅くなってしまう家庭は諦めるしかないのでしょうか。今回のメルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』で著者の柳川さんが、目からウロコの対処法を紹介しています。
子どもの「睡眠不足」を解消するには?
Q. 睡眠時間を確保させたいのですが、娘が最近受験のために夜更かしを始めたため、小学生の息子まで寝る時間が8時半だったのが、11時頃になってしまいます。睡眠不足の影響が心配です。(小学3年男児、中学2年女子お母様より)
柳川さんの回答
最近の小学生たちに慢性疲労症候群が多いと言われ、問題になっています。
主な原因は、睡眠不足。小学生に必要な睡眠時は9時間~11時間と言われていますが、8時間未満の子どもたちが多くなっているのです。睡眠の大切さ、睡眠を取れないときの対処法をお伝えします。
1. 本当に、寝る子は育つ
成長ホルモンは、質の良い睡眠がしっかり取れているときに分泌されます。良質な睡眠で脳の疲れが回復するからです。
睡眠が少ないと、脳の発達に悪影響があるため、当然身体の発達にも悪影響を与えます。
そして、脳の中で唯一、成人後も細胞分裂を繰り返す海馬も育ちにくくなります。そのため物覚えが悪くなるだけではなく、認識力やモチベーションの低下に繋がります。
これらの力が衰えると、課題解決能力、コミュニケーション能力、他者理解能力などに悪影響を及ぼしかねません。寝る子は育つ、とは、身体のみならず、心も育つと言う意味で確かなのです。
2. 一日の睡眠時間にこだわらず、ひと月の睡眠時間を考える
子どもに睡眠を取らせたくても家庭によっては、両親の帰宅が夜8時半過ぎという場合もあります。
その場合は、子どもの睡眠問題が解決されないかというとそんなことはありません。
一日の睡眠時間を20分増やせば、ひと月で10時間の不足を解消できます。ひと月単位で考えて、毎日の寝る時間をほんの少し早めましょう。注意するのは、起きる時間は変えないことです。
3. 仮眠で睡眠不足を解消
睡眠の目的は、脳の疲れを取ることです。脳がしっかり働けば、良質の睡眠を取ることができるからです。
そのために、体内リズムを考慮し、起きてから、6時間後、もしくは13時間後に、15分の仮眠を取ることをお勧めします。6時半に起きる子どもの場合は、12時半もしくは夜7時半です。
注意することは、深く眠ってしまわず、仮眠に留めておくことです。
家庭教育アドバイス・・・良質な睡眠を取るために
小中学生の心身疲労状態の症状調査のアンケート※によると、上位5つを占めるのが、「あくびが出る」「眠い」「横になりたい」「目が疲れる」「思い出せない」です。これらの原因は全て睡眠不足です。
身体能力、知的能力(学力)が高い子どもは、早寝早起きです。早寝をするからこそ知能を最大限有効活用できて成績が良いのです。
子どもの能力を発揮させるには、生活が夜型に偏っているのならそれを正すことが先決です。
そして、スマホやPCなどの光を浴びたり、多すぎる情報に接し頭を使いすぎたりすると、脳が興奮状態になり、質の良い睡眠は取れません。寝る2時間前にはリラックスした状態で居られるよう心がけましょう。
続けて9時間の睡眠が取れないのであれば、3. でご紹介したように、起きる時間を変えず、寝る時間を少しでも早め、ひと月単位で不足分の睡眠時間を解消していきましょう。
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