ここがヘンだよ「森友問題」。マスコミが報じない猛烈な違和感

 

1)三大忖度事件のうち、どうして森友なんでしょうか? 三つの疑惑のうち、女性の人権と人格を踏みにじる「強姦不起訴事件が最も悪質なもので、次に許認可の結果が歪められた「加計」もタチが悪いと思うのですが、どうして「森友?」という疑問は消せません。

2)籠池夫妻というのは、かなりいい加減な人物のようですが、それにしても200日を超える未決勾留で口塞ぎというのはひどすぎます。後述するような「右派のくせに左派と結託して復讐しようとしている」という姿勢が政権周囲として許せないのは分かりますが、いくら何でもこれでは政権の威信も何もあったものではありません。

3)一方で、森友問題を突破口に反権力という情念が噴出しているというのは、まるで韓国の政変と同じ構造を感じます。例えば、昭恵氏への執念深い追及は、まるで崔順実(チェ・スンシル)氏への激しい攻撃にも似た怖さ、得体の知れなさを感じるのです。

4)とにかく政策論が全部吹っ飛んでいるのが怖いです。「働き方」の議論も、データの信憑性という矮小な政治的対立に流れていましたが、それもどこかへ行ってしまいました。まして、構造改革であるとか、肝心の朝鮮半島情勢などについて冷静に討議する環境が全部消えているのは恐ろしいことです。

5)そもそも最大の違和感は「野合問題」です。私は、個人的にはこの「野合」という言葉が嫌いですが、嫌いな語彙をあえて使いたいほど、今回のケースは悪質です。というのは、福島瑞穂氏自由党の森裕子氏と共産党の小池晃氏も同席)が「調査」に赴き、「籠池邸前」で籠池氏と一緒に会見したシーンが頭に焼き付いているからです。福島氏は、(教育勅語礼賛などを含む)「右派の学校ができるのを止めたい」からやっているなどと言っていますが、要するに籠池氏のサバイバル戦略と結託して、安倍政権を左右から挟撃する構えであるわけです。政治的には唾棄すべき姿勢と思います。唾棄すべきという言い方も私は嫌いですが、他に形容を思いつきません。そのぐらい非道だと思います。いずれにしても、以降、この事件の全体像については、全く正視できない印象があります。

6)一方で、最初に掲げた「三大忖度事件」というのは、長期政権の腐敗だというように思われていますが、少し違うように思います。一つは、安倍総理自身に「イデオロギーの罠に陥りやすい体質があるということです。つまり、本心からの、あるいは世界観としてのイデオロギーというよりも「敵味方の峻別にこだわる姿勢です。例えば、第一次政権の際も、「格差の拡大」が批判される中で、「憲法改正にこだわった姿勢が政権失速の主因になっています。今回も、一時期に朝日新聞を叩きすぎたり、居直りが強すぎる辺りには、この「敵味方のイデオロギー」という呪縛を感じます。

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