苦境ケーヨーデイツー。頭打ちのホームセンター業界で復活なるか

 

ケーヨーが再び成長軌道に乗るために確立すべき事

ケーヨーとしてみれば、東証1部上場が維持され、「iite」、「ペット&グリーン」のような独自の施策もできるというわけで、有利に事が運んでいるように見受けられる。DCMとの提携で、上期にはまず仕入れを一体化。物流が統合されて、スケールメリットにより、仕入れコストが下がった。この効果により、利益率が高まっている。また、地域に撒くチラシのサイズダウンと、撒く日程を毎週から2週間に1度に延ばすなど、効果を検証しながら調整し、広告費の削減を行った。

さらに、下期にはPBの「デイツー・オリジナル」から撤退し、「DCMブランドに順次切り替えている。これも「DCM」ブランドのスケールメリットが出るので、より安く良質な商品が提供できる体質改善につながっている。DCMグループではPB比率が17%まで高まってきており、中間流通を省けるので利益率改善に役立っている。PB比率が約4割もあるカインズには、まだまだ届かないが、「DCM」ブランドの消費者からの支持が広がっているのが、同社の強みとなっている。ケーヨーもその恩恵を受けている。

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そして、DCMグループのノウハウを活用して、田舎立地の店舗の大型店5店を改装。衣料品や食料品を縮小して、プロ向けの建築資材農業資材の本格展開を始めている。今まで木材は日曜大工用しか置いていなかったが、職人向けの家を建てられる角材を導入するなど、商品構成を見直した。農業資材もたとえば防獣ネットなどは、都市部に店舗が多いケーヨーでは目が届きにくい商品だった。

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以上のように、ケーヨーは、DCMグループとの仕入れ共通化のシナジー効果に期待しつつ、都市型のDIY強化の「iite」、郊外型のペットと園芸専門「ペット&グリーン」、田舎型の建築・農業資材強化店と、立地別に店舗を分けて企業再生に取り組んでいる。従来のどの店も一律の金太郎飴型の画一化した店舗ビジネスからの決別には、末端にいたるまでの社員の発想の転換が必要であり、容易なことではないが、方向性は正しい

昨年12月の既存店の売上高は前年同期比10.2%減、今年1月14.1%%、2月13.9%減と2桁減となっているため、30年2月期通期の決算では予想の1,370億円(6.7%減)を下回る見通し。依然、ケーヨーが厳しい経営環境にあるのは事実であるが、取り組むべき課題は明確化されており暗中模索しているのではない。ケーヨーが、立地別3タイプのホームセンターのビジネスモデルを確立できれば、再び成長軌道に乗るのではないだろうか。

image by: WikimediaCommons(Thirteen-fri)

長浜淳之介

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

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兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

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