苦境ケーヨーデイツー。頭打ちのホームセンター業界で復活なるか

 

払しょくされたケーヨーデイツーのイメージ

さて、千葉県船橋市に一昨年11月、オープンした生活提案型ストア「iiteイイテBY D2」はホームセンターの新しい形を世に問いたいという、同社の思いが詰まった意欲的な店だ。1号店の船橋坪井店は「ケーヨーデイツー」からの業態転換であるが、真っ白に塗られた洗練された建物に、カフリッシュ体のようなポップな書体で黒のマジックを使って手書きしたみたいな「iite」の看板。従来の日用品が安い「ケーヨーデイツー」のイメージは外観からも払しょくされ、変われば変わるものだと衝撃を受ける。ヨーロッパにトリップしたかのような店の雰囲気だ。

nagahama20180326-1

「iite」のある場所は、京葉高速鉄道・船橋日大駅から徒歩5分ほどのロードサイドにあり、道の向いは日本大学理工学部。周囲は美し学園と呼ばれる新興住宅街で、新しいライフスタイルを持つ人たちが住んでいる。習志野台の大規模団地も近い。売場面積は店内2,618㎡、店外763㎡で、駐車台数は152台。隣の建物はドラッグストアー大手「カワチ」の大きな店舗で、まともに日用品の品揃えで勝負すれば完敗しかねない危険な立地でもある。

ケーヨー・広報によれば「30代から40代の女性をターゲットにした都市型実験店」とのことで、「東急ハンズがイメージされているらしい。実際に訪問した印象では、おしゃれなDIY商品の提案で好調が伝えられる「カインズ」や「ビバホーム」が意識されているようにも思われた。

ところどころで、カテゴリーごとに生活シーンを想定したディスプレイがなされ、ガーデニング、収納、工具、文具等々、意外とコンパクトに編集されていて、買物がしやすく考慮されている。ディスプレイは、コルクのコースターに動物の絵を描きボードに張ってインテリアにしてみたり、木製のスノコにフックを付けてコップを飾ってみたり、ミニサイズの観葉植物を手づくり風のテーブルに並べてみたりといった感じ。個人営業のカフェに来たような店づくりを随所に取り入れている。顧客が自分で創意工夫して、部屋の空きスペースをより快適に活用したいと、アクションが起こしたくなる売場が目指されている。

nagahama20180326-2

また、店内には「iiteファクトリー」というワーキングスペースがあり、予約すれば30分100円でDIY作業ができる。ドリル、ドライバー、ノコギリ等の工具も借りられる。「iiteファクトリー」では初心者でも楽しめるワークショップも開催。包丁のとぎ方、網戸や襖の張り替え、壁紙の貼り方など、知っていれば便利な暮らしのテクニックを学べる。「iite」は昨年2月に、千葉県佐倉市に2号店の「そめい野店」をオープン。順次、立地を選んで出店を進める方針だ。

nagahama20180326-3

print
いま読まれてます

  • 苦境ケーヨーデイツー。頭打ちのホームセンター業界で復活なるか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け