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育ったと思ったら辞めていく。なぜ人材育成はうまくいかないのか

メルマガ『ビジネス真実践』の著者で営業・マーケティング戦略コンサルタントの中久保浩平さんのもとに、多くの経営者から「人材育成」に関する悩みが寄せられるそうですが、彼らに共通しているのが「将来のビジョンがないこと」だそうです。そんな状況を打破するには? 中久保さんは今回、「経営者が持つべき視点」について持論を展開しています。

組織やチーム作りに必要なこと

多くの経営者の悩みの1つである人材育成。これまでに人材育成に関する記事は何度も書いてきましたし、コンサルティングもさせて頂きました。そして、相談してくる経営者や管理職の方の台詞は、

「人を育てるのが難しい」
「育てるためにはどんな研修が必要でしょうか?」
「育ったと思ったら、辞めていく」

とこんな感じがほとんどです。こんな時、私は、「なぜ育てる必要があるのですか?」という育成の必要性について尋ねるようにしています。すると、これまた大概セリフが決まっていて、「そりゃ会社の将来のためですよ」てな感じです。

そこで、意地悪な私は、「では、その将来とはなんですか?」と尋ねるんですが、

「規模をもっと大きくしたい」
「売上○○億までするために」

などと返ってきます。

「では、なぜ今より規模を大きくする必要があるのですか?」
「売上を○○億にまでする必要性は?」

などさらに突っ込むと、「………」と、詰まることがあります。こうした経営者には、将来イメージはあるのでしょうが、具体的な組織ビジョンが明確でないパターンが多いです。つまり、人材を育成する確固たる必要性がないのと同じであり、これでは、人材育成の必要条件には不十分となります。よって、育つものも育たないし、育ったと思っても辞められていき、描いているイメージを具現化できる可能性は限りなくゼロとなります。

このビジョンが明確かつ具体的でないと人材育成は本来できません。というか、活きた組織が構築できないので、人が育ったとしてもその先も知れています。

10年後、5年後の組織、チームビジョンをしっかりと持ち、そのビジョンを具現化し、尚且つ、その先も運営していく必要が経営者にはあります。そのときに必要な人材、そのポジションに適した人材、これがちゃんと腹に落ちてないと、育成そのものがぼやけてしまうのです。土台の無い、ふわふわの組織やチームになってしまいます。

つまり、将来の組織やチームの在り方、ビジョンを明確にした現時点で、

までを具体化しておかないといけないということです。それがあって、初めて、10年後、5年後のカタチを全て逆算し採用基準、育成にあたるまで計画・実施することができるのです。

プロのアスリートの親御さんは子供の頃から、1つの種目に没頭させるように育てているという話は結構ありますが、その育て方と同じようなことです。

将来像を明確にしその為の育成を行う

それぞれのエキスパート、プロを育てはじめて活きた組織となります。今いる人材や枠組みだけで考えてなんとか活きた組織作りをしようとしたところで限界がきます。将来像を具現化し運営していくには、将来のビジョンに合わせて組織チームを作ることが必要です。

今いる人材を足し算式にはめていくのではなく、先に組織チームビジョンを明確にして、さらに、その上で育成法や採用基準を決めていくという風に逆算していくことです。

「忙しくなってきたから、急遽人材を募集しなくちゃ! Aさんが辞めちゃったから、代わりの人を雇わないと」

こうした後手後手の会社は、活きた組織作りが出来ていない場合がほとんどです。

きちんと機能する活きた組織を構築していくには、人材が抜けたり、繁忙期はいついつなど、これくらいの範囲は、想定内にすることです。というか、ビジョンが明確にあり、育成、採用など全てにそれがリンクしていれば、そうなるはずです。

御社では、ビジョンと組織チーム作り、さらには人材育成、これらが全てきちんとリンクできていますか? 人が足らなくなったら、募集する、という繰り返しになっていませんか?

■今日のまとめ

『将来の組織の形や在り方に沿って人材を採用、育成する。』

image by: Shutterstock.com

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【著者】 中久保 浩平 【発行周期】 毎週:火・木午前8:00発行※祝日の場合は翌日

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