日大アメフト会見でハッと思い出した「試合に出られない」補欠の苦悩

 

結局、最後は負け、その試合を最後に私たち4年生は引退することになりましたが、ミヤちゃんの粘りで、誰もが納得のいく引退試合となったのです。

お恥ずかしい話ですが、私はその時に初めて、自分がいかに自分中心で4年間を過ごしていたかを思い知りました。

ミヤちゃんは、4年間、足が凍る寒稽古にも、真夏の鬼のような合宿にも、日々の稽古にも欠かすことなく参加し、一緒に汗と涙を流していました。

「全国大会に行こう!」を合言葉に、4年間一緒にふんばってきたのです。

私は常に表舞台にいましたが、彼女はステージに立つこともないのに最後まで耐えていたのです。ホントは自分だってステージに立ってスポットを浴びたい。

なのに「頑張ってねとレギュラーを励まし続けました。一度たりともいやな顔をすることなく、私に「頑張れ!」とエールを送り続け、常に100%の応援をしてくれていたのです。

どこの誰が補欠を目指して苦しい稽古に耐えるでしょうか。恐らく彼女は、幾度となく悔し涙を流していたに違いありません。

勝ったの、負けたのと、表舞台で流される涙以外の悔し涙が同じ空間に存在していたことに私は最後の最後でやっと気がついたのです。

自分にスポットライトが当たらなくなったとき、日大のコーチや監督があのアメフト選手にかける言葉は他にあったはずです。

がむしゃらにスポーツに打ち込める学生時代だからこそ学べることがたくさんあります。今回のような「贖罪の気持ち」は……いらなかったなぜその手助けをコーチや監督はしなかったのかできなかったのか

ひとつだけ確かなのは、彼は今のしんどさを乗りこえたとき、やさしくて強い人になると思います。

ふんばれ! とにかくふんばれ! そんなことを思いつつ、1時間もの記者会見をすべて見てしまいました。

image by: Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年5月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2018年5月23日号)より一部抜粋

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