MAG2 NEWS MENU

古都、もうひとつの顔。京都三条通りにモダン建築を訪ねる旅へ

京都といえばもちろん「神社仏閣」ですが、もうひとつの顔をご存知でしょうか。それが、三条通りを中心に数多く残るレトロな近代建築物たちです。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者で京都通の英学(はなぶさ がく)さんが、そんな「京都モダン」な建物を案内しています。

ぶらり三条通り

京都市の中心部を東西に走る「三条通」は平安時代には三条大路だった通りです。

鴨川にかかる三条大橋は言わずと知れた東海道五十三次の終点ですよね。かつては京都のメインストリートとして栄えました。そのため今もレトロな近代建築が残されているのが魅力的です。しかもただ残っているだけでなくオシャレに改修されて人気ショップなどがそれらのビルに入っていたりします。寺社仏閣よりも新しいノスタルジックな街並み散策も楽しいですよ。今回は昨日見て歩いて改めてご案内しようと思いました。

明治時代に琵琶湖疎水が完成すると京都の近代化は一気に進みました。国内初の営業用水力発電所が出来て、安定的に電力供給が出来るようになり、市街には路面電車を走らせることが可能になりました。また、岡崎(平安神宮の辺り)では内国勧業博覧会が開かれ、三条通に多くのモダンな建物が建てられました。

しかしその後再開発が進み、街の中心は四条通りへと移っていきました。再開発をしなかったお陰で三条通りにはレトロな洋風建築が残り、魅力的な街並みになったというわけです。

烏丸通りから河原町通りへ、東から西に向かっていくつか見ていきましょう。

まずは烏丸三条の交差点にある赤れんがの建物です。現在はみずほ銀行京都中央支店で、旧第一銀行京都支店だった建物です。明治39年に、辰野金吾の設計で建てられました。東京駅の駅舎も辰野金吾ですね。辰野式と呼ばれる赤れんがに白帯のスタイルが特徴的です。

次に目を引くのは「文椿ビルヂング旧西村貿易会社です。「フミツバキ」と読みます。当時では珍しい木造の洋館です。近年リノベーションされて流行りのレストランや、雑貨、ファッションのお店などが入っています。味のある建物なので外国人観光客の姿も少なくないスポットになっています。

文椿ビルヂング

旧家邊徳時計店 image by: 京都フリー写真素材

東洞院まで進むと、また赤れんがの洋館が見えてきます。「中京郵便局」です。念のため「チュウキョウ」ではなく、「ナカギョウ」です。明治35年、吉井茂則の設計によるネオルネッサンス様式の建物です。辰野式の赤れんが建築とは少し違います。こちら白い隅石がアクセントになっています。今も現役で郵便局として使われています。郵便局の看板は小さくて分かりにくいですが、建物がれんが造りでとても目立つ郵便局です。

そのすぐ先に現れるのはまたもれんが造りの「京都文化博物館別館」です。市民からは「ブンパク」と呼ばれ親しまれています。この建物は旧日本銀行京都支店です。先ほどの「みずほ銀行」と同じ辰野金吾の設計で、明治39年に建てられたものです。赤れんがに白い帯のアクセントは「みずほ銀行」と同じです。しかし、こちらは塔屋やドーム玄関周りの装飾が豪華です。普段は無料で内部の見学ができるので是非中を見て下さい。内部は創建当時の豪華な内装がそのまま残っています。天井や壁に残る細かい装飾、シャンデリアが素敵です。そして銀行だった当時のカウンターや窓口は、今でもその面影を残しています。

京都文化博物館別館

三条通りのれんが造りの建物で一番古いのが「旧家邊徳時計店」です。明治23年の建築で木造建築に煉瓦を張っているという珍しい造りです。見上げると、中央のアーチのデザインが凝っていて洒落ています。今はおしゃれな衣料品店になっています。

家邊徳時計店

1928ビル image by: 京都フリー写真素材

またまた辰野金吾の登場です。大正3年に建てられた「旧日本生命京都支店」です。辰野金吾と高岡安の設計によるものですが、赤れんがの辰野式とは全く雰囲気が違います。片岡安の色が濃い石張り建築です。今はアンティーク着物のお店が入っています。

文化遺産オンライン 旧日本生命京都支店

次は「1928ビル」です。1928(昭和3)年に大毎新聞(現毎日新聞社)京都支社として建てられたものです。設計は武田五一。今も使われている京都市役所などを設計した人です。この建物は、大毎新聞時代の社章をかたどった星形の窓やバルコニーに注目して見て下さい。最上階のアーチ型ホールは、音響効果がよく、昔から演劇などの会場として活用されてきました。

1928ビル

近年は京都発の感動エンターテイメントショー「ギアGEAR」の専用劇場となっています。

京都の感動エンターテイメント ギア-GEAR-

「1928ビル」の地下に続くタイルのモザイクの階段も芸術的です。地下はオープンなカフェ「カフェ・アンデパンダン」があります。独自の雰囲気を味わうことが出来るカフェです。

「カフェ・アンデパンダン 」食べログ

このように京都は通りひとつとっても色々な物語があります。明治から昭和にかけて建てられたモダンな建築は今も面影を残したまま活躍している姿はイキイキしています。古都京都の時代が終わった後の京都を感じるのもまた乙なものですよ。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by:  京都フリー写真素材

英学(はなぶさ がく)この著者の記事一覧

毎年5,000万人以上の観光客が訪れる京都の魅力を紹介。特にガイドブックには載っていない京都の意外な素顔、魅力を発信しています。京都検定合格を目指している方、京都ファン必見! 京都人も知らない京都の魅力を沢山お伝えしていきます。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 おもしろい京都案内 』

【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け