6月6日、総務省は携帯3大キャリアに対して、いわゆる「2年縛り」の違約金の撤廃を含めた行政指導を行いました。これを受け、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、各社が打ってくると予想される対抗策により、ユーザーは半永久的にキャリアに縛られることになるとの予測を記しています。
総務省が3キャリアに「2年縛り」を行政指導――数年前のアメリカ市場のような激変は日本でも起こるのか
WWDC取材に夢中になっている間に総務省が3キャリアに対して行政指導を行っていた。
特に注目は2年縛りの条項だ。来年3月末までに「2年縛りの料金プランで、2年経過時に解約する際、25カ月目の料金や違約金がかからないようにすること」を求めた。
現在、2年経過後に、継続して2年縛りのプランにするか、違約金なしで解約できる2つのコースが用意されているが、その抜け道は通用しなくなったということだろう。今後は2年契約が経過してもいつでも負担なく解約できるようにしなればならないことになりそうだ。
おそらく、数年前にアメリカで起こったことが、日本でも起こるのではないか。アメリカではT-Mobileが「Uncarrier戦略」の一環で2年縛りを辞め、ユーザーを一気に獲得。それにつられて、他キャリアも2年縛りから脱却した経緯がある。
アメリカは1社の勇気あるキャリアによって市場が動いたが、日本は総務省に行政指導されて仕方なく、2年縛りを辞めざるを得ない状況に追い込まれているというのが情けない。本来ならば、ソフトバンクがあたりがUncarrier戦略をぶち上げ、上位2社を攻めるぐらいの気概が欲しかったものだ。
ただ、日本の3キャリアにとってみれば、総務省のメンツのために2年縛りを辞めなくてはいけないというのは当然、面白くない。なんらかの対抗策を打ってくることが予想される。
端末販売の「4年割賦」に関しては、店頭で丁寧に説明すればいいことになっている。これからは4年縛りでの販売がメインとなり、端末販売で、ユーザーを囲い込むことに注力することになるだろう。もちろん、2年もしくは1年で機種変更ができ、これまで使っていた端末は回収が前提だ。これによって、ユーザーは半永久的にキャリアに縛られることになる。
おそらく、ポイントサービスも、長期契約者に対してはより一層、手厚くなることだろう。
しかし、ここ数年、総務省のキャッシュバックや実質0円販売への規制により、国内市場は全くといって競争がなくなり、無風の状態となっている。今回の2年縛りへの行政指導が、大手3キャリアの刺激となり、ユーザーの獲得競争が再び、盛り上がるようになってくれると、大歓迎であることは間違いない。
ただ、3キャリア間で競争が激化すれば、総務省が活性化を狙うMVNOが太刀打ちできなくなるわけで、今回の行政指導が総務省の狙い通りに行くかどうかは、また別の話と言えそうだ。