MAG2 NEWS MENU

ヤミ民泊強制キャンセルで予約9割消滅もAirbnb神対応に賞賛の嵐

6月15日から施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)を前に、国交省は「届出番号のない」民泊の予約を強制的にキャンセルさせると通知。これを受けて、世界で展開する民泊予約サイト「Airbnb」がとった異例とも言える「神対応」に、キャンセルで宿泊先を失った人々からも賞賛の声が挙がっていると紹介するのは、無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者、廣田信子さん。廣田さんは、以前ご紹介の記事から大きく動いた国交省の英断と、健全な民泊の推進で人を幸せにしたいというAirbnbのブレない方針に拍手を贈っています。

民泊の流れを変えたAirbnbの神対応

こんにちは! 廣田信子です。

6月15日の住宅宿泊事業法施行を前に民泊に関する動きが激しいです。5月25日の記事「なぜ、あなたのマンションにも知らない外国人がやってくるのか?」からまた大きく動きました。

この記事の中で、正規の登録件数のあまりの少なさと、予約サイトから消えない大量の未登録物件の予約が半年先まで入っている現状で、果たして、ヤミ民泊はなくなるのか…危惧する声に対して、次のように書いています。

国のヤミ民泊取締りはここにきて本気だと思います。思えば、そうでなければ国家とは言えません。法律を作るまでは、民泊推進圧力等があって調整するのがたいへんだったと思いますが、国会で法律が成立し、施行された以上、それを守らせられなかったら、国の威信にも関わります。

 

ヤミ民泊を一掃しない限り、負担が大きく儲けにくい住宅宿泊事業法による正規民泊が健全に成長することも考えられません。

そして、その通り、国の本気を見る通知が出されました。6月1日、国土交通省観光庁観光産業課長通知が、Airbnb等の各住宅宿泊仲介事業者に急遽一斉に発信されました。届出番号、あるいはその他の正当な理由がないものは、既に確定済みの予約であってもキャンセルしなければならない旨の通知です。予約済みのものに対しては柔軟に扱ってもらえるような観光庁のニュアンスが一変した訳です。

そして、Airbnbは、苦渋の選択でしょうが、届出番号の確認ができない6月15日~30日の予約すべてキャンセルしたのです。9割の予約が消えました。このAirbnbの対応には驚きでした。しかし、大量の予約キャンセルまではしないだろうと高をくくって、未登録のまま半年先までの予約を受け付けている状況を一掃するには、それしかなかっただろうと思います。

Airbnbは、ゲストが代わりの宿泊施設を探すための十分な時間を確保できるように、届出等のない物件の予約は、チェックインの10日前に自動的にキャンセルし、満額を返金する。さらに、1,000万ドル約11億円相当の基金を設立し宿泊予約キャンセルにより旅行のプラン変更を余儀なくされたゲストを、最大限サポートするとしました。

代わりの宿泊施設の確保や航空券の変更などによる追加費用を負担する。その上で、予約相当額の宿泊に使えるクーポンを発行。さらに体験用の無料クーポンも進呈。それらをすべて10日以内に行う。さらに、宿泊施設がAirbnbで見つからなかった場合は、JTBが代替の宿泊施設確保の手伝いをする。それを、専門のチームが24時間体制でサポートすると打ち出しました。

私の知り合いの子育て中の3ファミリーの旅行の民泊予約が、キャンセルになりました。一斉キャンセルで、世界中から問い合わせが殺到しているでしょうに、問い合わせると1時間以内に返信がきたと言います。返金はもちろん、旅行日程の変更や宿泊変更で追加になった分を補てんし、お詫びに予約金額を上回るクーポンが送られてくるというので、Airbnbの対応に怒ってはいません。旧来の日本企業に、ここまで迅速な、徹底したお客目線の対応ができたでしょうか。

このAirbnbの対応に、民泊に対する風向きが変わった気がします。面倒で厳し過ぎる登録申請の方を見直すべき…と言う声が、民泊利用の外国人旅行者によって活性化した地域の人たち、民泊利用のメリットを享受した経験を持つ消費者から上がってくることと思います。

私のAirbnbに対する印象も変わりました。健全な民泊の推進で人を幸せにしたいというブレない方針と危機管理能力の高さに、この企業が伸びて来た理由を見た気がしました。今後も増え続けることを確信しました。

ちなみに、私も、孫たちを連れての夏休みの旅行に、大きな一軒家の民泊に3泊を予約していました。幸い、この物件は、正式な登録届出済の物件なのでセーフでした。子供が多い大人数の旅行に民泊はやはりありがたいと私自身も思っています。

民泊狂騒曲は、新たな局面を迎えようとしていますが、では、環境庁は民泊をどうしようと考えているのでしょうか? そして業界は? 公共団体は?

image by: Shutterstock.com

廣田信子この著者の記事一覧

マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 まんしょんオタクのマンションこぼれ話 』

【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け