断たれたのは金正恩の逃げ道。米朝会談は「トランプ大勝利」で確定

 

何が問題なのか?

基本から考えます。北朝鮮核問題は、何が問題なのでしょうか? 北朝鮮が核兵器を保有していることです。なぜ、それが問題?

一つは、北朝鮮が「世界秩序を破壊している」ことです。核拡散防止条約(NPT)によると、アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアが核兵器を保有するのは、「合法」とされている。その他の国が保有するのは、「違法」とされている。メチャクチャ不平等な条約ですが、そう決まっています。

しかし、NPTを無視して、核を保有している国もあります。インド、パキスタン、イスラエル。この3国は、「NPTは不平等な条約だ」と主張し、NPTに加盟していない。イスラエルについては、自国が核を保有しているか「否定も肯定もしない」「でも全世界の人が、イスラエルは核兵器をもっていると知っている」という変な立場にあります。

北朝鮮は、唯一「NPT加盟国でありながら03年に脱退して核保有国になった」国。日本にも「核武装論者」がいますね。日本がそれを決意すると、「NPTを脱退して」ということになる。つまり、「北朝鮮と同じ道を行け!」ということになります。北朝鮮核、一つ目の問題は、「世界秩序を破壊している」でした。

二番目の問題は、もっと重要。北朝鮮が、日本、アメリカ、韓国を「核ミサイルで攻撃するかもしれない」。これ、ホント切実ですね。とはいえ、アメリカ、つい最近まで、北朝鮮を事実上放置してきた。

クリントン時代、北には核兵器がなかった。ブッシュ(子)時代、北は核保有を実現した。しかし、ブッシュは、アフガン、イラク戦争で忙しかった。オバマ時代、1期目は「100年に1度の大不況」で忙しかった。二期目は、シリア、ウクライナ、ロシア問題などで忙しかった。つまり、クリントン、ブッシュ(子)、オバマは、それぞれの理由で、北朝鮮問題を放置してきた

では、トランプになって、なぜ北問題が「最重要課題」になったのでしょうか? 皆さんご存知ですね。「北がICBMを完成させ、アメリカ本土を核攻撃できるようになったから」です。少なくとも、北はそう主張しています。アメリカ国防総省は、「まだ無理だが、後1年以内にできるようになる」としています。つまり、北核問題が、「自国の安保問題」になったので、トランプさんが、マジになった。

トランプ、金の狙い

17年は、ホント大変でした。私を含め、たくさんの人が、「米朝戦争あり得るよね」と考えていた。その理由は、北が、核実験、ミサイル実験を、狂ったようにくりかえしていたから。ところが、18年になると、金は180度立場を変えます。なぜ? 実をいうと、金正恩がやっていることは、父・金正日と同じなのです。

脅威を煽り支援を引き出し核はちゃっかり保有する」(金正日方式)

1994年、北朝鮮は「核開発凍結」を確約し、見返りに軽水炉、食料、毎年50万トンの重油を受け取りました。しかし、彼らは密かに核開発を継続していた。2005年9月、金正日は、「6ヵ国共同宣言」で「核兵器放棄」を宣言した。しかし、現状を見れば、それもウソだったことは明らかです。

それで、日本もアメリカも、「金はウソをついている」と警戒する。当然です。

一方、金は金で、アメリカを信用できない。フセインは、大量破壊兵器を持たず、アルカイダを支援していなかった。しかし、アメリカは、イチャモンをつけ彼を殺しました。リビアのカダフィは、03年核開発をやめた。そして、欧米との関係が一時よくなった。制裁は解除され、「テロ支援国家リスト」からも外された。しかし2011年、カダフィは、アメリカと欧州が支援する「反体制派」に捕まり殺されています。

この二人から金が得た教訓は、

「核を持たない反米指導者は殺される」(フセイン)
「核開発を止めた反米指導者は、だまされ殺される」(カダフィ)

というわけで、金がアメリカを信用しない根拠はある。要するに、お互い信頼できないわけです。

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