断たれたのは金正恩の逃げ道。米朝会談は「トランプ大勝利」で確定

 

「具体的でない」「タイムテーブルがない」

もう一つの主な批判は、共同声明が「具体的ではない」「タイムテーブルがない」というもの。これ、どうでしょうか? どちらも事実です。だから失敗???

常識的に考えてみましょう。アメリカと北朝鮮は、1950年から現在に至るまで戦争中です。この問題は、68年つづいている。そして、核問題は、少なくとも24年つづいている。こんな大問題を、トランプと金が1時間(朝10~11時)会談しただけで、解決できますか????? 1時間で解決し、「具体的なタイムテーブルも作れ!」。こんなことができる人がいれば、是非教えていただきたい。

「具体的でない」」「タイムテーブルがない」と批判する人は、「北方4島が返ってこなかったから安倍ープーチン会談は全失敗だ!」と批判する人に似ています。

もう一つ、そもそも「具体的」「タイムテーブル」というのは、「トランプの仕事ではない」ということもあります。

「非核化のタイムテーブル」というのは、核の専門家も参加して行われるものでしょう? トランプは、核の専門家でしょうか? 違いますね。トランプと金が会った。ポンぺオさん、ボルトンさんなどが参加して、拡大会談がおこなわれた。さらに、人数を増やしてワーキングランチがあった。それでも、核の専門家はいないわけで、それで「非核化のためのタイムテーブルなどつくれるはずがない

そもそも「非核化のタイムテーブルをつくる」のはトランプの仕事ではない。それは専門家の仕事である。そして、今回の首脳会談、トランプにそんなミッションはなかったのです。

では、トランプのミッションは、なんだったのでしょうか? 金と、「ディールの概要について話し合うことです。「ディール」の中身はなんでしょうか? 「北が非核化すれば、アメリカは北の体制を保証する」です。共同声明には、「ディールの概要」が記されています。具体的な話は、ポンぺオさんが、これから詰めていく。

皆さんの会社が小さければ、細かなところまで、社長が詰めるかもしれない。しかし、大企業の社長の仕事は「方針を定めること」ではないですか? 具体的な方法は下の仕事です。

米韓軍事演習の中止について

トランプさん、記者会見で「米韓軍事演習の中止に言及して世界を仰天させました。「金に譲歩した!」と大いに批判されています。しかし、これにも意味があるのです。

トランプと金は、「非核化」「体制保証」で合意しました。具体的なタイムテーブルは、これから詰めていく。ところが、金はおそらく「お父さんのようにうまくウソをつき、制裁を解除させ経済支援を受け取り核はちゃっかり保有しつづけよう」と考えている。

アメリカは、体制保証を約束したが、制裁解除には合意しなかった。それで、金は今、「うれし悲し」という感じでしょう。今度は、「安倍さんにあって、金をふんだくろう」と考えているに違いありません。

ところがトランプは、「米韓軍事演習を中止する!」といった。実際、そっちの方向に話が進んでいます。そして、「核戦争をしたくないので、人権問題をうるさくいわない」といっている。つまり、トランプサイドはディールの内容を履行しはじめてている。

トランプは、当然、金に「アメリカは約束をはたしている。おまえも約束をはたせ」と迫るでしょう。金も、何らかの行動をとらざるを得なくなります。でなければ、「ウソ」がバレてしまう。おそらく金は、何らかの行動を起こすことでしょう。起こさなかったらどうなりますか? トランプは、「金はやはりウソつきだった! ディールは終わりだ」と主張することができます。

しかし、「ウソつきだ!」と証明するためには、最初に「約束」させる必要がある。私たちが「北朝鮮はウソつきだ!」というとき、実をいうと、「金“正日”はウソつきだった」といっているのです。

金正恩は、「ウソつき男の子供」です。ところが、彼は、文さんとトランプに「非核化する」と約束した。これで、ようやく金がウソつきかどうか検証することができるようになる

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