アメリカが、中国経済を潰すまで「貿易戦争」を止めない理由

 

2. 新規日本国債の売却できず

それと同時に、新規日本国債が売れない。日本の金融機関は金利0.1%程度の日本国債を買えない。今までは米金融機関が日本国債を買っていたが、その買いが出ない。ドルプレミアムを取り、日本の金融機関にドル・円交換の際は、年利2.5%乗せていたので、金利0.1%程度の日本国債でも買えていた。日本の金融機関は交換したドルで米国債を買っていたが、金利が下がり、10年米国債でも金利2.8%になり、実質年利0.3%しかないので米国債を買えなくなり、ドルプレミアムを介した取引をしなくなっている

しかも、株価には反映していないが、現時点で10年米国債は最高値で売れるので、日本金融機関はそれを売って、円安になり円に戻して巨額の儲けを出している。このため、米金融機関も円を持てなくなり、日本国債を買えないことになってしまった。

これらのことから、日本国債が売れない事態となっている。今後、日銀が直接新規国債を買うことになりそうである。もちろん、それができないので、日銀が依頼して、手数料を払って日本の金融機関に買ってもらい、そのまま日銀へ転売となる。

この事態が発生すると、海外投資家への円に対する信頼がなくなり円安になり始める。その事態が起きていると見た方が良い。

心配していた事態が、とうとう起きてしまったようだ。日銀もこの事態を知って対処を考えているが、財政支出を拡大し国家予算の赤字幅が増えたため新規国債を大量に売るしかなく、そのままにすると金利が上昇してしまうので、日銀は新規国債を買うしかない。つまり、日銀の金融緩和により円安が起きている。日銀が予算ファイナンスをやりすぎた結果が、このような事態になったのだ。

このため、円独歩安は気を付けてみる必要がある。これは「ハイパーインフレへの道に入り始めているように感じる。安倍首相の経済政策「アベノミクス」の失敗が明らかになる日も近い。総裁選挙までは持つと思うが、参議院選挙まで円が持つであろうか?

同様に東京市場の株価も、日銀のETF(上場投資信託)買いにより、株価が上昇しているように見えるが、海外投資家は徐々に売り主体になっている。それが、空売り比率が50%以上になっている理由でもある。しかし、日銀が介入しているので売り崩せないでいるので、一度、株を上昇させてバブル化させ、バブル崩壊の売り崩しに来る可能性がある。要注意である。

3. ドル高をいつまで我慢するのか?

トランプ大統領は、製造業を取り戻して、賃金水準が高い白人労働者の職を確保したいはずである。そのために、貿易戦争をして自動車や鉄鋼・アルミなどに関税を掛けると騒いでいる。

製造業の製品輸出には、ドル安の方が良いはずであり、ドル高は製造業にとっては良くない。また、米国債の償還でもドル安の方がよいに決まっている。

しかし、今はドル高になっている。これは、いつかトランプツイード攻撃が出てくる。その時、逆回転が起きて円高ドル安になり、その途端、バブル崩壊で一気に株暴落になってしまう可能性がある。どうか気を付けて下さいと言うしかない。最後まで「株高」についていかない方が良い、どこかで降りることである。

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